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皮膚に貼るバイオセンサーで汗の乳酸値を測定する運動評価法を開発:医療技術ニュース
慶應義塾大学は、皮膚に貼るだけで汗の乳酸値を測定できる、バイオセンサーを活用した運動評価法を開発した。心血管疾患患者の運動評価が可能かを検証する医師主導の治験を実施し、その有効性を確認した。
慶應義塾大学は2023年2月24日、グレースイメージングと共同で、皮膚に貼るだけで汗の乳酸値を測定できる、バイオセンサーを活用した運動評価法を開発したと発表した。心血管疾患患者の運動評価が可能かを検証する医師主導の治験を実施し、有効性を確認した。
治験では、皮膚にバイオセンサーを貼付し、非侵襲的に汗中の乳酸値を連続モニタリングできるウェアラブル機器(汗乳酸センサー)を使用。患者が心肺運動負荷試験を受けている間の汗中乳酸値を連続モニタリングすることで、心臓リハビリテーションの運動処方で重要な指標となるAT(嫌気性代謝閾値)を推定できるかを検証した。
その結果、汗中乳酸値の測定で得られた汗乳酸性代謝閾値により、ATを推定できることが確認できた。主要評価項目を達成し、同評価法の有効性が示された。
適切な強度の有酸素運動は、心疾患の発症や悪化予防につながる。汗乳酸センサーを用いた今回の手法は、従来の呼気ガス分析より簡便かつ安価に評価できるため、運動療法の普及に寄与する。研究グループは、同機器の医療機器製造販売承認を目指し、今後も開発を進めるとしている。
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