コロナ禍前の水準に回復、医用画像関連システム市場に関する調査結果:医療機器ニュース
矢野経済研究所は、国内の医用画像関連システム市場に関する調査結果を公表した。2021年度の事業者売上高ベースの市場規模は、前年度比6.9%増の600億6200万円と推計され、大幅減少となった2020年度から回復した。
矢野経済研究所は2023年2月27日、国内の医用画像関連システム市場に関する調査結果を公表した。2021年度の事業者売上高ベースの市場規模は、前年度比6.9%増の600億6200万円と推計され、大幅減少となった2020年度から回復した。
調査は、2022年11月〜2023年1月に、医用画像関連システムや機器を扱う国内メーカー、輸入製品の総発売元を対象に実施した。市場規模は、医用画像関連システムのうち、Radiology PACS(Picture Archive and Communication Systems)、Cardiology PACS、3Dワークステーション、放射線情報システム(Radiology Information System:RIS)および治療RIS、検像システム(Quality Assurance System)、線量管理システム(Dose Management System)を対象に算出した。
医用画像関連システムの中心となるRadiology PACSと、その周辺システムのRISおよび治療RIS、検像システムは、普及が既に進み、リプレースが中心となっている。そのためRadiology PACS関連市場は、おおむね横ばい基調となった。
注目は線量管理システムで、2018年に厚生労働省から、線量の記録や医療従事者向け研修の義務化方針が示されたため、2018〜2020年度の同市場は高い成長率で推移した。しかし、2020年度をピークに減少しており、需要は一巡したとみられる。今後は、2018年以降に導入されたシステムの更新が本格化する、2025年度頃まで減少トレンドが続く予想だ。
2020年度は、消費増税前の駆け込み需要の反動減や新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより、前年度比5.7%の大幅減少となった。2021年度はそれらの影響から回復して、2019年度と同水準になっている。
コロナ禍や消費税増税の影響はさらに減り、2022年度以降の市場規模は560億円程度で横ばい傾向になると予測する。医用画像関連システムベンダーでは、AI(人工知能)サービスや患者がスマートフォンなどから病院内の医療情報を参照できるPHRサービス、デジカメ画像管理関連、病理画像関連事業など、多様な取り組みが進んでおり、こうした動きはさらに加速する見通しだ。
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