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EVのパワー半導体を高出力化する第3世代SiCハイグレードエピウエハーを開発:材料技術
レゾナックは、SiCエピタキシャルウエハーの第3世代ハイグレード品を開発した。新構造のエピタキシャル技術で電流密度が向上しており、高価格帯EVや鉄道向けパワー半導体の高出力化と省スペース化の両立に貢献する。
レゾナックは2023年3月1日、炭化ケイ素(SiC)エピタキシャルウエハー(エピウエハー)の第3世代となるハイグレードエピウエハーを開発し、量産を開始したと発表した。
SiCパワー半導体は、従来のシリコンウエハーを用いたパワー半導体と比べ、電力変換時の電力損失や熱の発生が少ない。そのため、省エネに貢献するデバイスとして、特に産業分野での需要が急拡大している。
SiCパワー半導体の主要材料であるSiCエピウエハーは、SiC単結晶基板にエピタキシャル層を成長させた製品だ。今回開発した第3世代ハイグレードエピウエハーは、新構造のエピタキシャル技術でSiC基板中の欠陥の拡張を防ぐため、第2世代よりも電流密度が向上している。これにより、高価格帯の電気自動車(EV)や鉄道向けなどに使用されるパワー半導体の高出力化と省スペース化の両立に貢献する。
レゾナックは、持続可能な社会の発展に貢献すべく、エネルギー効率化を可能にするSiCエピウエハーを次世代事業と位置付け注力している。同社は今後も、性能、信頼性が高い製品を供給し、SiCパワー半導体の普及に貢献していく。
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