この記事は、2023年2月21日発行の「製造マネジメント メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。
「最高の産業人」「再高額所得者」「思想家」「雑誌主宰者」「ベストセラーの著者」――。1964年に発行された当時の米国有力誌「ライフ」で、パナソニック創業者の松下幸之助氏が持つ「5つの顔」が取り上げられました。同氏の「思想家」としての側面は非常によく知られています。商品を大量に生産して安価に人々に供給し、豊かな社会の実現を目指す「水道哲学」はあまりにも有名です。さらに月刊誌「PHP」を創刊して「雑誌主宰者」として活動するなど、一企業経営者の枠内に収まらない、精力的かつ多角的な取り組みを展開しました。
こうした松下氏の遺した数々の理念は、歴代の同社経営陣にとって非常に重要な意味を持ちます。現在のパナソニック ホールディングス CEOである楠見雄規氏も、松下氏の哲学を軸とした経営を推進すると会見の場で繰り返し強調しています。持ち株会社制への移行など経営体制を改革し、事業展開の加速を目指している同社ですが、大きな変化のただ中でも変わらない経営の羅針盤を確認しつつ歩もうとしているように思えます。
先週、こうした理念を紹介するある施設を訪問しました。大阪府門真市のパナソニックミュージアム敷地内にある松下幸之助歴史館です。初めて訪れたので知らなかったのですが、無料で見学できることから観光客の人気スポットにもなっているそうですね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ≫MONOistメールマガジン編集後記バックナンバー
- 「失われたものを取り戻す」パナソニック楠見新社長が求めるトヨタ式現場力
2021年4月にパナソニックのCEOに就任し、同年6月に代表取締役 社長執行役員となった楠見雄規氏が報道陣の合同インタビューに応じ、事業会社制の狙いや2年間のオペレーション力強化への取り組み、パナソニックの強みなどについて説明した。 - パナソニック楠見新CEOが立ち返る「物心一如」、ただ「2年間は競争力強化に全力」
パナソニックは、2021年4月に新CEOに就任した楠見雄規氏が経営方針を発表。「理想の社会」の実現に向け改善を進める企業としての基本姿勢を強調し、地球環境問題に積極的に取り組み、2030年に全事業会社でのCO2排出量ゼロ化を目指す。また、「専鋭化」に向け2年間は全事業の競争力に全力を注ぐ考えを示した。 - パナソニック新体制の主役は事業会社、“裏方”HD会社はDXとGXを積極推進
パナソニックは2021年10月1日、2022年4月の持ち株会社制への移行を見据え、従来の社内カンパニー制度を廃止し、新体制における8つの事業会社を想定した仮想的な組織体制へと移行した。これに伴い、パナソニック グループCEOの楠見雄規氏が新体制による方向性について説明した。 - ブルーヨンダー新CEOのアンゴーヴ氏が会見「サプライチェーンは世代交代すべき」
ブルーヨンダーの新CEOに就任したダンカン・アンゴーヴ氏が東京都内で会見。同氏は「サプライチェーンをエンドツーエンドでカバーするソリューションを提供しているのはブルーヨンダーだけだ。パナソニックが展開するセンサーやカメラなどから得られるデータを活用し、顧客の取るべきアクションの精度を高められるようにしていく」と語った。 - パナソニック新CIOが目指すPXとは、情シス部門を歴史と伝統の呪縛から解き放つ
パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)が、同社グループで推進しているDXプロジェクト「PX(パナソニックトランスフォーメーション)」について説明。同社 グループCIOの玉置肇氏は情報システム部門における「歴史と伝統の呪縛」について指摘するとともに「まずは情報システム部門の社員を幸せにする」と述べた。