AI機能搭載の外観検査装置、正常データだけで飲食料品の目視検査を自動化:製造現場向けAI技術
日立産機システムは、AI機能を搭載した外観検査装置「Edge AI Machine Vision」の実証実験を開始した。正常データだけで学習と推論ができるため、飲食料品の外観検査の負担を軽減し、目視検査の自動化に貢献する。
日立産機システムは2023年1月30日、AI(人工知能)機能を搭載した外観検査装置「Edge AI Machine Vision(エッジAIマシンビジョン)」の実証実験を開始したと発表した。実証実験の結果を反映し、同年4月の販売開始を目指す。
Edge AI Machine Visionは、IoT(モノのインターネット)対応産業用コントローラー「HX」シリーズの「ハイブリッドモデルII」に、新開発のエッジAIモジュール「HX-AIX1」を搭載している。USBカメラや照明設備と連携することで、生産ラインを流れる商品が変わっても、検査用の膨大な商品画像を読み込ませる工程、追加費用が不要になる。
また、飲食料品の検査では異常品の発生率が低いため、学習用の異常データを収集しにくい。HX-AIX1は、ディープニューラルネットワークをベースとした独自の診断アルゴリズムにより、異常データがなくても良品の正常データだけで学習できる。
さらに、Edge AI Machine Visionは、エッジAIの学習に適したGPUや専用メモリを搭載しているため、商品ごとの条件設定や画像データ学習用の専用システムの設定が不要だ。これらにより、リアルタイムでシームレスな学習、推論を実行できる。
主な性能として、約40分で2000枚の画像を学習し、1分当たり約300枚の推論速度で瓶の傷やラベルの汚れなどを検知可能だ。
同社は、Edge AI Machine Visionの実証実験と製品化を進め、飲食料品だけでなく広範な業界における目視外観検査の負担軽減や自動化に貢献する。
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