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もうサンプル集めに悩まない、少量データで学習可能なAI外観検査スマートファクトリーJapan 2022

Preferred Networksは「スマートファクトリーJapan 2022」(2022年10月19〜21日、東京ビッグサイト)において、AI(人工知能)技術を活用した外観検査ソフトウェア「Preferred Networks Visual Inspection」をアピールした。

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 Preferred Networksは「スマートファクトリーJapan 2022」(10月19〜21日、東京ビッグサイト)において、AI(人工知能)技術を活用した外観検査ソフトウェア「Preferred Networks Visual Inspection(以下、PVI)」をアピールした。

良品100不良品20でも学習可能

 PVIは、自社でスーパーコンピュータを所有するPreferred Networksが開発した独自の深層学習モデルにより、少ないデータでも高精度な外観検査の自動化を実現する。これまでAIを用いた外観検査には数万から数十万の学習データを必要とするケースが多かったが、PVIでは良品100、不良品20程度といった少量のサンプルでも学習可能となっている。良品のデータは集まりやすいのに対し、不良品のデータを大量に集めるのに労力やコストを要するケースが多いが、その手間を省くことができる。

 用意した画像は、良品、不良品にグループ分けするだけで学習でき、不良箇所をタグ付けするアノテーションは不要だ。AIが自動的に注目箇所を判断する。GPUを併用することで画像1枚あたり10ミリ秒(処理条件による)と高速に推論処理を実行できるよう設計、実装されている。


外観検査ソフトウェア「Preferred Networks Visual Inspection」の主な特徴[クリックして拡大]

 不良箇所は分かりやすくヒートマップで可視化する。また、直感的なGUI(Graphical User Interface)になっており、画像の登録からモデルの学習、精度比較までを一気通貫で管理でき、学習モデルの作成もわずかなマウス操作で完了する。

 PVIは2018年の発表以降、これまでに金属部品や布、繊維、食品などの外観検査に利用され、導入企業は150社以上にのぼるという。「リリース当初は“本当にAIで外観検査できるのか”という認識もあったが、今はAI外観検査が認知されて、その中から性能やニーズなどを基に検討、評価いただいて実績が伸びている。硬くて形が決まっているものは効率よく検知できるが、不定形物や柔らかいものでも十分に高い精度を発揮する」(説明員)。

AIが万年筆のペン先を良否判定

 ブースではPVIの活用事例として、筆記具大手のプラチナ万年筆に納入する万年筆のペン先の良否判定デモンストレーションを実施し、AIが微細な傷を見分けていた。システムはパートナー企業のPhoxterと構築した。

 万年筆にとって重要なペン先は高い品質が求められる。これまでは全数を目視で検査してきたが、自動化により検査基準の一層の統一などを図る。今回はペン先の中間工程で検査する。

実際の装置はライン上に設置される(左)と、微細な傷を検出してNG判定(右)[クリックして拡大]

 マイスターエンジニアリングと構築した外観検査システムも展示した。弁当に模したサンプルに対して具材の不足を不良品判定した他、プリント基板の傷やはんだの不良を検知した。

不良箇所を原因と関連づけて表示(右)[クリックして拡大]

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