AIで不良冷凍ハンバーグを検出し自動排出、協働ロボットとの組み合わせで:スマート工場EXPO2023
安川電機は、「第7回スマート工場EXPO」において、冷凍ハンバーグのAI画像検査を行い、欠けや焦げなどの不具合品を自動で選別して排出するデモを紹介した。
安川電機は、「第7回スマート工場EXPO」(2023年1月25〜27日、東京ビッグサイト)において、冷凍ハンバーグのAI(人工知能)画像検査を行い、欠けや焦げなどの不具合品を自動で選別して排出するデモを紹介した。
冷凍ハンバーグのAI画像検査のデモは、コンベヤーで搬送された冷凍ハンバーグの模型をカメラで撮影し、良否判定の結果を基に、協働ロボットで不良品をつかみ、割れや欠け、焦げなどの不良内容に合わせて分類して排出するというものだ。協働ロボットは安川電機製、AIによる良否判定はYE DIGITALのAI画像判定サービス「MMEye」を活用し、システム全体は安川電機とYE DIGITALが共同出資で設立したアイキューブデジタルが構築したという。
ベルトコンベヤーを流れる冷凍ハンバーグの数を減らしたり、増やしたりしても対応可能。AI画像検査により良否判定と同時に、ベルトコンベヤー上の位置を把握し、コンベヤーのスピードから数秒後の位置を推定しロボットを取りに行かせる制御を行っている。会場での安全性を考慮し、ロボットのスピードを抑えているため、不良の冷凍ハンバーグの数を増やしすぎると、AI画像検査で場所を把握できていても、ピッキング作業が間に合わずに流れてしまうケースもあった。ただ「冷凍ハンバーグの数や場所にこだわらずに活用できるなど、現場の運用に合わせた柔軟性がこのシステムの特徴だ」(アイキューブデジタル)としている。
現在、安川電機やアイキューブデジタルではこの仕組みを主に食品製造業向けで提案しているが、「生ものや肉類など、不定形なものの検査などで評価を得ている。こうした業務は従来は人の目視に頼らざるを得なかったが、AI技術などの発展で自動化が実現できるようになってきている。人が大変なところを解決していきたい」(アイキューブデジタル)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- DXや内製化など進めた施策が成果に、安川電機が語る2023年の見通し
世界経済に多くの影響を及ぼしたコロナ禍の影響が一段落しつつあるが、2023年はどのような動きを見せるのだろうか。安川電機 代表取締役社長の小笠原浩氏に2022年の振り返りと2023年の見通しについて話を聞いた。 - AIを用いた異物検査を食品製造に適用、新型自律ロボットでは新たな市場目指す
安川電機は「FOOMA JAPAN 2022(国際食品工業展)」(2022年6月7〜10日、東京ビッグサイト)において、AIを用いた異物検査、除去システムなどを提案した。2023年投入予定の新型自律ロボットも参考出展した。 - ロボットAI技術でポテトサラダを“おいしそう”に、安川電機AI子会社が開発
安川電機のAI(人工知能)関連子会社であるエイアイキューブは、「2022国際ロボット展(iREX2022)」(リアル展、東京ビッグサイト、2022年3月9〜12日)の安川電機ブース内に出展。AIの学習を簡略化するシミュレーション技術「Alliom」と画像認識技術を組み合わせた「Alliom Vision」により、唐揚げやポテトサラダの色味や配置などを判断し“おいしそうに見える”ように配膳するデモを披露した。 - ばら積みピックアップ精度を4時間で95%に、AIで学習時間を720分の1にする技術
安川電機のAI(人工知能)関連子会社であるエイアイキューブは「2019国際ロボット展(iREX2019)」(2019年12月18〜21日、東京ビッグサイト)の安川電機ブースに出展し、ロボットのばら積みピックアップの学習を簡略化するシミュレーション技術を披露した。ロボットのばら積みピックアップの学習と調整に従来は数カ月かかっていたのに対し、新技術を使えば数時間で95%前後の精度が実現できるという。 - 「人中心の自動化工場」を描く安川電機、物理面と制御面の柔軟性がカギ
日本ものづくりワールドの特別講演として、安川電機 取締役 常務執行役員 ロボット事業部長の小川昌寛氏が登壇。「ロボットの進化とデータドリブンによる自律分散型のモノづくりの実現 」をテーマに、生産現場で創出されるデータの活用によるソリューション技術の広がりや、デジタルツインの構造化によるさらなる進化について紹介した。 - 安川とYE DIGITALが新会社設立、製造業向けIoTソリューション事業で
安川電機とYE DIGITALは製造業における工場内業務や物流の自動化に関するIoTソリューション事業の展開加速を目指し合弁会社としてアイキューブデジタルを設立する。