デジファブ技術を活用した“光るベンチ”が建築と一体化した屋外空間演出を実現:3Dプリンタニュース
三菱ケミカルグループ、竹中工務店、エス.ラボ、慶應義塾大学 SFC 田中浩也研究室は、バイオエンプラを用いた3Dプリント樹脂ベンチを共同製作し、三菱ケミカルグループの研究開発拠点の敷地内に設置した。
三菱ケミカルグループ、竹中工務店、エス.ラボ、慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC) 田中浩也研究室の4者は2023年2月8日、バイオエンジニアリングプラスチックを用いた3Dプリント樹脂ベンチを共同製作し、三菱ケミカルグループの研究開発拠点「Science & Innovation Center」(神奈川県横浜市)の敷地内に設置したことを発表した。
製作した3Dプリント樹脂ベンチは、Science & Innovation Center内にある新研究棟のケヤキ並木の樹形に沿った折板状の架構にあわせた、三角形による多面体形状を採用し、新研究棟と呼応した一体的な屋外空間を演出する。独立した家具/オブジェとしてではなく、新研究棟の一部として調和するよう素材の選定から形状の設計、配置までを一貫して行ったという。
今回、素材として選定されたバイオエンジニアリングプラスチックは、植物由来のイソソルバイド(イソソルビド)を主原料とする三菱ケミカルグループの「DURABIO」だ。DURABIOは従来のPC(ポリカーボネート)樹脂と比べて、高い透明性と優れた光学特性などを備える他、植物由来のポリマーでありながら耐久性や耐候性にも優れている。主に、モビリティの内外装部品や光学/電子デバイス部材、日用雑貨など幅広い分野への適用が進んでいる素材となる。
ベンチ形状の設計は、竹中工務店が担当。パラメトリックスタディによって多面体同士の角度や座面の水勾配などを踏まえた、新研究棟と調和した一体的なデザインを導き出し、9種類の異なる形状の3Dモデルを作成した。自然物と人工物の中間のような、有機的な三角形で構成されたベンチとし、ケヤキ並木や大屋根、建物ファサード(建物を正面から見たときの外観)など、複雑な形状の自然物や人工物の一つとして周辺環境に溶け込むことを狙う。
造形に必要なツールパスの設計およびベンチの模様となる表面特殊効果のテクスチャー設計/デザインを慶應義塾大学 SFC 田中浩也研究室が担当。最大造形サイズ3000×3000×3000mmを誇るエス.ラボの超大型ペレット式3Dプリンタ「茶室」を用いて造形した。
さらに、設置に際しては、竹中工務店がそれぞれのベンチ形状に合わせた照明計画を行い、夜間になると敷地内に点在する3Dプリント樹脂ベンチが柔らかな光とともに屋外空間を演出する。
今後4者は、今回製作した3Dプリント樹脂ベンチの製品化に加え、デジタルファブリケーションによる建築と一体化した空間演出の提案も視野に入れ、共創を進めていくとしている。
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