3Dプリンタで製作するオフィス家具デザインのプロジェクトを発表:3Dプリンタニュース
オカムラは、慶應義塾大学SFC研究所ソーシャル・ファブリケーション・ラボと共同で、3Dプリンタで製作するバイオマスプラスチック素材のオフィス家具デザイン「Up-Ring」プロジェクトで、チェアやテーブルのデザインを開発した。
オカムラは2021年11月24日、3Dプリンタで製作するバイオマスプラスチック素材のオフィス家具デザイン「Up-Ring(アップリング)」プロジェクトで、チェアやテーブルのデザインを開発したと発表した。慶應義塾大学SFC研究所ソーシャル・ファブリケーション・ラボとの共同研究で製作した。
同ラボでは、地球環境時代のモノづくりの指針として、3Dプリンタを用いた高付加価値リサイクルのコンセプト「リープサイクル」を提唱している。このコンセプトをオフィス家具分野で社会実装するため、オカムラと共同でオフィス家具のデザインを開発した。
Up-Ringプロジェクトでは、3Dプリンティング技術やバイオマスの単一材料など、技術利点を最大限生かすことを考えたデザインを研究開発している。家具の材料には、サトウキビから作るバイオポリエチレンを使用。サトウキビは生育過程でCO2を吸収(固定)するため、CO2の発生量を石油化学系ポリエチレンに比べて70%削減できる。そのため、枯渇性資源の使用を抑え、温室効果ガスの排出抑制効果も期待できる。
バイオポリエチレンは、サトウキビを発酵させてバイオエタノールを作り、脱水、重合することで製造する。粒状のペレットで保管され、色の調整は着色したペレットを攪拌(かくはん)混合し、調合する。また、単一材料(モノマテリアル)で作るため、粉砕後は再度3Dプリンタで成形できる。非可食成分から製造しており、食料との競合も発生しづらい。
チェアの形状は新たに開発し、3Dプリンタによる一体成形で製造した。バランスボールのように、座っている人が自ら重心を移動させることで姿勢を柔軟に変化させ、かつ背中や膝の安定性も確保できる。
3Dプリンタでの生産時は、まず形状データを入力し、ペレット状の材料を投入する。ノズルから3Dプリンタ内で加熱された材料が射出され、何層も層を重ねて形作る。形状が出来上がったら、冷却して安定させる。
金型が不要な3Dプリンタによる生産は、生産準備段階での費用を削減し、製造時の材料消費、騒音、消費電力を抑え、かつ1台でも生産が可能だ。オカムラでは、脱炭素社会に向けて、Up-Ringプロジェクトの具体的な製品化の検討を進めている。
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