Wi-Fiによるセンサーレスの位置測定研究が活発化、通信サービスに付加価値を:イノベーションのレシピ
NTTドコモは同社の最新技術や研究成果を展示する「docomo Open House'23」を開催中だ。本稿ではWi-Fiなどの無線通信による位置センシング技術の展示を取り上げる。
NTTドコモは2023年2月2〜3日にかけて、同社の最新技術や研究成果を展示する「docomo Open House'23」を開催中だ。本稿ではその中からWi-Fiなどの無線通信による位置センシング技術の展示を取り上げる。
センサーを使わず位置測定を可能に
展示ではWi-Fiなどの無線通信を活用して、一定範囲内にある人やモノなどの位置を検出する技術が紹介されていた。検出に際して、カメラやビーコンやIoT(モノのインターネット)機器などのセンサー類は必要ない。通信機器やセンサーを持たない人物やモノであっても、おおよその位置を推定することが可能になる。
展示ブースでは、展示ブース周辺数mの範囲にいる訪問者の位置をWi-Fiを使ってリアルタイムで測定し、混雑度などをディスプレイに表示するデモが実施されていた。仮にAI(人工知能)を組み合わせれば、混雑度だけでなく人物の動作も「7〜8割くらいの精度」(NTTドコモの担当者)で推定することも可能だという。
これらのデータはカメラを使えばより正確に取得できる。しかしプライバシーの問題もあり、全てのエリアで撮影ができるとは限らない。そうした場合にも、位置測定や行動推定を実現する技術として応用が期待される。なお、模型を使った実験では、位置推定誤差は平均で0.9m程度だったという。
実際に工場などで技術を活用する場合、例えば、基地局と通信可能なスマートフォンの端末などをエリア内に固定設置して、当該エリア内の物体位置を測定するといった手法が考えられる。特定エリアへの人物やロボットの立ち入りなどを検出する、セキュリティ用途などでの使用が想定される。
NTTドコモの担当者は「Wi-Fiを活用した位置センシング研究はここ2〜3年で活発化している。この先、通信キャリアが通信サービスだけで事業を展開していくのは難しくなっていくだろう。無線を使って、いかにして付加価値を提供できるかが問われている。当社の強みの1つが国内外にある多数の基地局だ。通信サービスの提供可能範囲は広く、それを利用して得られた“位置”のような情報を企業に使用してもらおうと検討している」と説明する。
なお、本技術はWi-Fi以外にもさまざまな周波数帯の電波に適用することができるものだが、周波数帯によって反射しやすさなどに差異がある。そのため、各周波数帯において最適なユースケースを模索する必要がある。
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