切れない無線を開発する「ガレージ」、ローカル5Gなどの通信検証施設オープン:製造業IoT
サイレックス・テクノロジーは2022年1月27日、Wi-Fi 6やローカル5G、IoT向けWi-Fi通信規格として期待される802.11ahなどの実用的な製品開発、検証ができるスペースとして「THE BASE for 5G and Wireless」を新しく開設した。
サイレックス・テクノロジー(以下、サイレックス)は2022年1月27日、Wi-Fi 6やローカル5G、IoT(モノのインターネット)向けWi-Fi通信規格として期待されるIEEE 802.11ah(以下、802.11ah)などの実用的な製品開発、検証ができるスペースとして「THE BASE for 5G and Wireless」(以下、THE BASE)を新しく開設した。京都府精華町にあるサイレックスの本社内に設置する。
動作検証のための無線環境を提供
THE BASEの利用者はサイレックスの既存製品を使って、Wi-Fi 6やローカル5G、802.11ahなどさまざまなワイヤレス通信環境での接続、動作性を確認できる。クアルコムやサンダーコム、富士通などの企業と技術、ビジネスレベルで協業パートナーとして提携しており、これらの企業の技術や製品などを一部利用した接続性検証などの取り組みも行える。無線関連製品を手掛けてきたサイレックスのハードウェア、ソフトウェアエンジニアと連携して、同社の知見を生かした開発ができる。
具体的には、サイレックス製品を5G通信端末と組み合わせて、ローカル5G環境下とWi-Fi環境下でのデモ動作の違いを体感できる。この他、ローカル5Gモジュールを搭載したサイレックスの試作機を使うことで、ローカル5G通信の安定性検証や、5G通信による超低遅延映像伝送のデモ体験も可能だ。デモとしては5G通信を使ったロボットやAGV(無人搬送車)の遠隔操作や、4K低遅延映像伝送を使ったロボットアームの制御などが用意されている。
また、クアルコムの技術を使用しているサンダーコムのSOM(システムオンモジュール)を搭載したサイレックスのローカル5G対応試作機について、Wi-Fi 6や802.11ahが混在するネットワーク環境で接続、動作検証を実施できる。新しいワイヤレスソリューションの実現に向けた評価に使える。
サイレックス 代表取締役社長 三浦暢彦氏はTHE BASE開設の目的について、「当社はローカル5Gをはじめ、5G通信関連製品の開発を進めてきたが、動作検証のための無線通信環境が整備された開発場所がほとんどなく、悩んだことがある。これと同じ思いを抱えている5G通信関連開発企業に向けて、技術発展に貢献できる場を提供したいと考えた。エンジニアが通信接続が切れにくいワイヤレス環境を実現するために、THE BASE内のワイヤレス技術要素を自由に使って、自社のクライアントも巻き込んだ製品を作っていく。『ガレージ』のような空間を提供したい」と語った。
施設名の「BASE」には、ローカル5Gなどの「基地局」という意味に加えて、顧客と共に新しいサービス製品を生み出せる「基地」にしたいという思いを込めたという。
サイレックス 執行役員 グローバルマーケティングセンターの綱嶋和也氏は、ローカル5GやWi-Fi 6などを活用した工場や倉庫の高度化を念頭に置いて、「これらの環境には金属や機械などの構造物無線通信環境を不安定化させる要因が多く存在するため、安定した無線環境の実現はチャレンジングな課題になる」と語った。一方で、THE BASEにおいて、接続の切れにくい無線関連製品を提供してきたサイレックスのエンジニアの知見を活用することで、安定的な通信ソリューションの開発を進められ得るとした。
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