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EVに採用で需要が増えるSiCウエハー用研磨材の生産能力を年間50t以上に増強:製造マネジメントニュース
三井金属鉱業は、SiCウエハー用研磨材「NANOBIX」の生産能力を、2023年度内に年間50t(トン)以上に増強する。
三井金属鉱業は2023年1月10日、SiC(炭化ケイ素)ウエハー用研磨材「NANOBIX」の生産能力を、2023年度内に年間50t(トン)以上に増強すると発表した。
NANOBIXは、研磨材料で、非常に硬いSiCウエハー表面の結晶へダメージを与えず、短時間で平滑に加工できる。SiCウエハーは炭化ケイ素を使用した半導体素子製造の材料で、同材料を用いたSiCパワーデバイスは、従来のSi(シリコン)パワーデバイスよりも高耐圧となる他、高温下でも動作可能だ。
このような特性から、SiCパワーデバイスは近年、電気自動車などへの採用が進んでおり、高性能なSiCウエハーへの需要が高まっている。また、SiCウエハーの加工面積が増加したことで、効率的な研磨プロセスが求められるようになってきた。
こうした状況から、NANOBIXの需要は現在急増している。今後も拡大傾向が続くと見込まれることから、同社は生産能力の増強を決定した。
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