検索
ニュース

ISTの次世代ロケットは「DECA」、1段目ロケット再使用で打上コストを10分の1に宇宙開発(4/4 ページ)

インターステラテクノロジズ(IST)が、同社の事業戦略を説明するとともに、小型衛星を一体運用するコンステレーション用大型ロケット「DECA」の計画に着手したことを発表した。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

Our starsは「フォーメーションフライト」を目指す

 ISTがOur starsで人工衛星の開発を手掛ける狙いの背景としては、米国のSpaceXに代表されるロケットスタートアップが「ロケット×人工衛星」の垂直統合型サービスによってもたらしている変革がある。ロケット×人工衛星のメリットとしては、ロケットに最適化した衛星とのワンストップによる低価格化、衛星コンステレーションの迅速な構築、超低高度などへの特殊軌道への対応などが挙げられる。

「ロケット×人工衛星」の垂直統合型サービス
「ロケット×人工衛星」の垂直統合型サービス[クリックで拡大] 出所:IST

 Our starsでは、宇宙実験用衛星による無重力実験/回収プラットフォーム、超低高度衛星による地球観測サービスに加え、フォーメーションフライトによる衛星通信サービスを構想している。衛星コンステレーションを用いた通信サービスとしては、SpaceXと連携するStarlinkの他、OneWebなどが知られているが、これらは地上局アンテナが必要になる。Our starsが構想する衛星コンステレーション+フォーメーションフライトでは、衛星とスマートフォンなどの各デバイスが直接通信を行えるので、地上局アンテナが不要になるという。稲川氏は「現行の衛星コンステレーションが『衛星通信2.0』とすれば、フォーメーションフライトは『衛星通信3.0』になる」と述べる。

衛星コンステレーション+フォーメーションフライト衛星通信3.0を実現 Our starsが目指す衛星コンステレーション+フォーメーションフライト(左)が「衛星通信3.0」を実現する(右)[クリックで拡大] 出所:IST

 現在は、技術確立と地上試験を進めている段階で、今後はISTのロケットを用いた宇宙での実証実験に進めたい考えだ。2030年代の打ち上げを目指すDECAでは、衛星コンステレーション+フォーメーションフライトに用いることを想定した、超々小型衛星1000基を組み込んだ51基のキューブ型衛星を搭載する2段目ロケットを分離するイメージが公開されている。

衛星コンステレーション+フォーメーションフライトの開発ステータス
衛星コンステレーション+フォーメーションフライトの開発ステータス[クリックで拡大] 出所:IST
「DECA」を用いた衛星コンステレーション+フォーメーションフライトの打ち上げイメージ
「DECA」を用いた衛星コンステレーション+フォーメーションフライトの打ち上げイメージ[クリックで拡大] 出所:IST

 会見の最後に稲川氏は「ロケット、衛星の先にあるのは、地球上での暮らしをより良く変えていくことだ。ISTはそのための宇宙の総合インフラ会社になっていきたい」と述べている。

⇒その他の「宇宙開発」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る