BTOモジュールカメラで現場へのAI導入を促進、i-PROが「moducaシリーズ」を発表:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
i-PROが「moducaシリーズ」を発表。1500通りを超える豊富な組み合わせの中から顧客自身の用途に最適なカメラを選択できる「BTOモジュールカメラ」として展開する。
中小製造業でもAI活用に取り組める、投資コストは1年以内に回収
moducaシリーズを展開する上で重要なのが、さまざまな産業に向けてAI技術を展開しているパートナー企業だ。会見では、豊洋精工、RUTILEA、AI inside、東芝ライテックによるmoducaシリーズの活用事例も発表された。
豊洋精工は、同社の主力拠点である福岡工場(福岡県筑前町)に導入した、moducaシリーズを用いたAIカメラ検査機の導入効果について説明した。豊洋精工 福岡工場 工場長の河津克久氏は「当社のような中小製造業が生き残っていくためにはAIを活用した生産性向上が必要だが、巨額な投資が難しいためちゅうちょすることも多い。この課題を解決してくれたのがi-PROのモジュールカメラだ」と語る。
同工場のある製品の生産ラインでは、組み立ての各工程のサイクルタイムが44秒であるのに対し、検査工程だけが約1.5倍の72秒かかっており、他ラインからの応援が常に必要なことが課題になっていた。そこで、moducaシリーズを用いたAI検査機を導入して、32項目の検査を自動化することでこの課題を解決した。導入コストについても、削減した他ラインからの応援分の人月工数を考慮すると、1年以内に回収できるという。今後は、自社の国内4拠点、海外2拠点に展開を拡大するとともに、i-PROと連携してAIカメラやAI検査機を求める他産業に向けた外販事業も視野に入れている。
RUTILEAは、ノーコード動画認識AIによる作業分析システムを展開している。同システムを使えば、組み立て製造業で多くの割合を占める人手による作業の認識だけでなく、リアルタイムでの作業分析、作業手順の誤り検出による工程保証、危険作業の検出による安全保証などが可能になる。また、ノーコードで簡単に作業内容を登録できるので専任プログラマーは不要であり、moducaシリーズを現場に設置した日から即日で運用を開始できるという。RUTILEA取締役の柴田恭佑氏は「moducaシリーズはAI処理性能が高く、AIの負荷分散が可能であるとともに、多様なカメラバリエーションを即座に調達でき、開発サポートも充実していることが大きなメリットになる」と述べる。
AI insideは、画像系AIをノーコードで開発/運用できるAIプラットフォーム「Learning Center Vision」を展開している。AI inside Product Marketing Unit マネージャーの佐々木章宏氏は「AI導入を求める声は大きいが、AI人材やデータの質と量の不足などが導入障壁となっている。AIが簡単に作れれば現場へのAI導入は勝手に進んでいくはずだ。ノーコードで画像系AIの開発と運用ができるLearning Center Visionとmoducaシリーズを使って、マスク検知デモを開発したが、5.5時間の学習時間を含めて8時間で完成した。センサー側の柔軟性を広げるmoducaシリーズによって、さらに現場へのAIの浸透が図れるだろう」と強調する。
東芝ライテックは、高天井向けのLED照明器具にカメラとクラウドAI画像解析サービスを組み合わせた「ViewLED」にmoducaシリーズを採用した。「照明とカメラは相性がいい。moducaシリーズは、照明に組み込み可能なコンパクトサイズや、さまざまな撮影環境や要件に対応可能な多彩なバリエーション、セキュリティカメラの実績に基づく高品質な映像などを評価してきいただき、採用が決まった」(塚原氏)という。
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