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オムロンが約10年ぶりのトップ交代、制御機器事業出身の新社長で次なる成長へFAニュース(2/2 ページ)

オムロンは2023年1月12日、同社 執行役員常務 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長の辻永順太氏が同年4月1日付で社長 CEOに就任する人事を発表し、辻永氏、代表取締役社長 CEOの山田義仁氏、取締役会長 立石文雄氏が出席して本社(京都府京都市)およびオンラインで記者会見を行った。

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創業家の人物が初めて取締役にゼロ、企業理念は既に社内に浸透

 社長交代について立石氏は「オムロンは2022年にSF2030をスタートさせ、新しい時代に向けて走り出した。この成長を加速させるためには過去の成長体験にとらわれない新しい価値観と発想を持った次世代のリーダーに託すのが望ましいと、山田の意向に合意した」と賛同を表明。取締役会長に就任した2013年以降に関しても「創業者が思い描いてきたよりより社会づくりを通して成長するオムロンに、少しは近づけることができたのでは」(立石氏)と満足げだ。

 創業家である立石家の人物が取締役から外れるのは初めてとなるが、立石氏は「2006年に当時の会長の立石義雄が、経営の求心力を創業家から企業理念に置き換える宣言をした。取締役会の運営も、執行側の戦略を監視、監督となっている。そういった能力を持っている人であれば、創業家であろうがなかろうが構わない。コンセプトは社内に行き渡っている」と話す。

 オムロンは2015年に企業理念を改定している。創業者である立石一真氏が定めた「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」を残しながらも、グローバルで共通の表現を取り入れ、より実践的な内容にした。立石氏は世界各地を回り、企業理念について現地の経営幹部らと対話する「企業理念ミッショナリーダイアログ」を延べ55回開催したという。2022年には企業理念の実践を定款に定めた。

 山田氏は「社長就任以降、創業の理念を軸に社会的課題の解決を推進してきた」と話し、辻永氏も「企業理念の実践をより進化し、より強化し、盤石にしていきたい」と重ねる。企業理念と創業者の思いは受け継がれている。

社長就任は青天のへきれき、恩返しをと決心して受諾

 社長就任の内示を受けたのは2カ月程前だったという。その時の印象について辻永氏は「制御機器事業の責任者としてSF2030をまっとうするものだと信じ込んでいた。青天のへきれきだ」と振り返るが、「オムロンに育てていただいた恩返しができると決心して受けさせていただいた」と力を込める。

 辻永氏は1989年に立石電機(現オムロン)に入社し、一貫して制御機器事業に携わってきた。オムロンは2016年には「integrated(制御進化)」「intelligent(知能化)」「interactive(人と機械の新しい協調)」を融合させたモノづくり革新コンセプト「i-Automation!」を発表した。それまでのコンポーネント中心の事業から、ソリューション型のビジネスに転換して現在に至っている。「未来の工場の姿を描き、それを実現するために愚直に取り組んできた。ほぼその姿はかなえることができたと自負してている。次の世代に進化を担ってもらいたい」(辻永氏)。現在の事業環境についても「非常に不確実、不透明な時代が続いているが、われわれの経験、技術、知識などを生かせる領域はまだまだある。社会的課題を解決にチャレンジしていきたい。激動の時期ではあることをチャンスに捉えていきたい」(辻永氏)と前を向く。

 辻永氏は好きな言葉として、立石一真氏の言葉である「最もよく人を幸せにする人が最もよく幸せになる」を挙げた。「新入社員にもこの言葉を伝えてきた。昨今の世界情勢を見ても、この言葉の重み、大切さを感じている。この言葉を大切にして経営を行っていきたい」。休日には10km、15kmとウオーキング。京都の観光地を回りながら、リフレッシュを図る。

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