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オムロンが約10年ぶりのトップ交代、制御機器事業出身の新社長で次なる成長へFAニュース(1/2 ページ)

オムロンは2023年1月12日、同社 執行役員常務 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長の辻永順太氏が同年4月1日付で社長 CEOに就任する人事を発表し、辻永氏、代表取締役社長 CEOの山田義仁氏、取締役会長 立石文雄氏が出席して本社(京都府京都市)およびオンラインで記者会見を行った。

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 オムロンは2023年1月12日、同社 執行役員常務 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長の辻永順太氏が同年4月1日付で社長 CEOに就任する人事を発表し、辻永氏、代表取締役社長 CEOの山田義仁氏、取締役会長 立石文雄氏が出席して本社(京都市下京区)およびオンラインで記者会見を行った。山田氏は同年4月1日付で社長 CEOを退任し、同年6月に予定されている株主総会をもって取締役会長に、立石氏は名誉顧問に就任する。

過去最高業績の見通しも、次世代のリーダーにバトンタッチ

左からオムロンの山田氏、辻永氏、立石氏
左からオムロンの山田氏、辻永氏、立石氏[クリックで拡大]出所:オムロン

 オムロンは2022年に、2030年度に向けて「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」の3つの取り組むべき社会的課題などを定めた長期ビジョン「Shaping the Future 2030(SF2030)」を発表した。

 2011年に代表取締役社長に就任した山田氏はこれまでを振り返りながら、「東日本大震災や急激な円高、米中対立、新型コロナウイルスのまん延など激動の12年間だった。2022年に新しい長期ビジョンであるSF2030をスタートさせたが、初年度となる2022年度は過去最高の業績を達成する見通しであり、次の10年に向けて良いスタートを切ることができた。このタイミングで次世代のリーダーに経営のかじ取りを託すことがベストであると判断し、社長指名諮問委員会に後任への交代を上申した」と語る。

 辻永氏を次期社長に選んだ理由として山田氏は、現場主義の実践者、企業理念の体現者であり、そして実績を上げるリーダーであるという3つのポイントを挙げた。山田氏は「彼ほど現場主義を体現している人はいない。現場に寄り添い、声を聞くことでお客さま、社会の課題を解決し、事業をけん引してきたた。人望の厚いリーダーであり、オムロンのトップとして必須の条件である企業理念を体現している観点からも資質十分だ。制御機器事業は2年間で売上高は1.5倍、営業利益は1.6倍に伸びており、会社を発展させることができるリーダーでもある」と、辻永氏に太鼓判を押す。

ヒントは全て現場に、対話で難局を乗り切る

 創業90周年のタイミングで社長に就くことになった辻永氏は「重責を担うことになり、光栄に思うとともに身が引き締まる思い」としながら、抱負としてSF2030の実現や実行力の強化、生き生きと社員が働ける職場の実現などを掲げた。「われわれが注力事業を通して創出する価値によって、3つの社会的課題の解決が着実に進んできている。SF2030、中期経営計画を変更せず、2030年に向けて持続的な成長ができる企業へと進化を遂げていく。変化が激しい事業環境では今まで以上に実行力の強化が求められ、意思決定と実行のサイクルを早く回すことに拘り実行力の強化を図る」(辻永氏)。

 2021年のインダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長就任後の2年間は、コロナ禍や部品の調達難、ロシアのウクライナ侵攻などが起こった。その難局でも、山田氏が触れたように現場を重視して事業運営に当たってきた。辻永氏は「苦労した2年間だった。その中で業績を伸ばすことができたのは、現場を大切に運営したためだ。入社以来、営業や商品企画に携わり、ユーザーの声を聞くことが多かった。それらの声をビジネスに反映してきた。ヒントは全て現場にあるというのが、信条として出来上がった」と語る。山田氏も、辻永氏の現場主義について「コロナ禍で部材が不足したこともあったが、そのたびに生産、営業、調達といった現場で鍵となる人たちと膝を交えて語り合い、鼓舞し、課題を解決しながら目標を達成してきた」と明かす。

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