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細菌に運動装置となるタンパク質を導入し、自ら動く最小の生命体を創出:医療技術ニュース
大阪公立大学は、最小の遺伝情報で生きる合成細菌内に運動装置となるタンパク質を導入すると、球状の合成細菌がらせん形状になり、遊泳することを確認した。
大阪公立大学は2022年12月1日、最小の遺伝情報で生きる合成細菌内に運動装置となるタンパク質を導入すると、球状の合成細菌がらせん形状になり、遊泳することを確認したと発表した。産業技術総合研究所との共同研究による成果だ。
節足動物や植物に寄生するらせん形状の細菌スピロプラズマは、7つのタンパク質で構成する装置により、右巻きと左巻きを交互に入れ替えて宿主の体内を遊泳する。同研究では、この7つのタンパク質を遺伝子操作で合成細菌syn3内に発現させた。
その結果、本来は球状のsyn3がスピロプラズマと同様にらせん形状となり、らせんを反転させて泳ぐことが確認できた。また、タンパク質の導入個数や組み合わせを変えたところ、動物の筋肉を構成するアクチンの仲間であるMreBタンパク質の2種が発現するだけで泳げるようになった。
MreBタンパク質は細菌に広く存在しているが、スピロプラズマ以外では短い繊維を形成している。その形状により、細胞壁を合成する酵素を正しい位置に誘導するレールの役割を果たしている。
今回の成果から、進化の過程で突然変異が生じ、らせん構造とその方向を反転させる能力がMreB繊維に形成されたことが示唆される。また、生命を維持する装置の突然変異により細胞運動能が進化したとする、同研究グループの提案を実証するものになるとしている。
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