直近1カ月間のひきこもり傾向を評価する質問票を開発:医療技術ニュース
九州大学らは、直近1カ月間のひきこもり傾向を簡便に把握できる自記式質問票「HQ-25M」を開発した。オンライン調査の結果、ひきこもり傾向が高いほどHQ-25Mスコアが高いことが示され、同質問票の予備的妥当性が確認された。
九州大学は2022年11月28日、直近1カ月間のひきこもり傾向を簡便に把握できる自記式質問票「One Month version of Hikikomori Questionaire-25(HQ-25M)」を開発したと発表した。日本大学らとの国際共同研究による成果だ。
HQ-25Mは、九州大学病院が2018年に日米共同開発した、6カ月間のひきこもり傾向を評価する自記式質問票「Hikikomori Questionaire-25(HQ-25)」を改訂したものだ。HQ-25と同様に、25項目の質問と「社会性の欠如」「孤立」「情緒的サポートの欠如」という3つの下位尺度で構成されている。
ひきこもりは、女性より男性に多く認められる。共同研究グループは、ひきこもり者を含む未就労の20〜50代の日本人男性762人を対象に、HQ-25Mの予備的な妥当性を検討した。
オンライン調査の結果、HQ-25Mの合計スコアと社会的ひきこもりの期間および3つの下位尺度において、有意な相関が認められた。また、調査では、HQ-25Mに加えて、過去1カ月間の心理的苦痛を図る「K10」という尺度についても同時に実施したところ、HQ-25MスコアとK10スコアも有意に相関していた。
今回の研究におけるオンライン調査は、ひきこもり評価に最新の国際診断基準を用いていないため、いくつか限界がある。今後は、さらなる信頼性と妥当性の検証をすべく、国内外の現場で、女性や重症のひきこもり者を含めたさまざまな人を対象とした調査が実施される予定だ。
九州大学病院は、世界で初めてひきこもり研究外来を立ち上げ、生物、心理、社会的理解に基づく支援法開発を進めている。HQ-25は既に6カ国語以上に翻訳され、世界で活用され始めている。改訂版となるHQ-25Mは、ひきこもりリスクを早期発見し、ひきこもり予防システムを構築することを目的として開発された。
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