人が行う単純作業を自動化、THKが簡単導入可能な3軸ロボット投入へ:SEMICON Japan 2022
THKは「SEMICON Japan 2022」(2022年12月14〜16日、東京ビッグサイト)において、円筒座標型モジュール「MLS」を参考出展した。2023年1月頃の発売を予定している。価格は200万円前後になる見込み。
THKは「SEMICON Japan 2022」(2022年12月14〜16日、東京ビッグサイト)において、円筒座標型モジュール「MLS」を参考出展した。2023年1月ごろの発売を予定している。価格は200万円前後になる見込み。
モジュールごとに導入できティーチングも容易
MLSは昇降、旋回、伸縮の3軸で構成されるロボットだ。ベース部分の昇降モジュールの可動範囲は200mm、可搬質量は50kg、繰り返し位置決め精度は±0.2mm以下、旋回モジュールは300度回転でき可動範囲は径1580mm、可搬質量は32kg、繰り返し位置決め精度は±0.02mm以下、先端の伸縮モジュールは可動範囲500mm、可搬質量は7kg、繰り返し位置決め精度±0.1mm以下となっている。
各モジュール単位で購入、納品でき、迅速な導入できる他、万が一の故障時にも該当のモジュールだけを入れ替えれば復旧も容易だ。狭い場所やクレーンがない場所にも持ち込むことができる。先端補正モジュールやダブルハンド、ならい吸着ハンドなどのオプションも用意している。生産は中国で行う。
「人が担っている単純作業の自動化を行うが、6軸などの多関節ロボットのような精度は要らず、コストも抑えたいユーザーに提案できる製品になっている。直動と回転の組み合わせなので設定時のティーチングも容易だ。THKらしくない製品といわれることもあるが、直動と回転の組み合わせであり、内部にはわれわれのLMガイドなどを使用しており、得意分野でもある」(説明員)
力センサーによる瞬時接触停止でダメージ低減
電子部品組立用ピック&プレースロボット「PPR」も出展した。PPRは半導体のチップや水晶振動子など微細なワークを吸着して、移載や組立を行うピック&プレースに最適化されたロボットで、ワークに掛かる力を測定する力センサーをはじめ各種センサー、電磁弁、制御モジュールなどが一体になっている。そのため、上位側との通信回数が少なくなり、サイクルタイムの短縮に貢献する。
高分解の力センサーを用いた荷重制御により、従来困難だったワーク接触時の微小な力を検出でき、ノズルとワークの接触を0.15N以下で検知して瞬時に停止することができる。「力をかけ過ぎると割れてしまうようなウェーハのチップや水晶振動子のような単結晶のワークに対して、力を制御して傷やダメージを与えることなくピック&プレースすることができる。小さくて薄いワークが得意で、0.2mm角の素子でもピック&プレースできる」(説明員)。
力、流量、圧力、温度などのセンサー情報は専用ソフトウェアで可視化が可能で、全21種類のデータを最大10個まで同時表示できる。トレーサビリティーとして、トラブル発生時の原因究明を迅速にし、品質の安定化につながる。
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