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なぜ日本で2nmの先端ロジック半導体を製造しなければならないのかモノづくり最前線レポート(3/3 ページ)

半導体などマイクロエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2022」が2022年12月14日に開幕し、オープニングキーノートパネルとして、新たな半導体製造会社であるRapidusなども含む「半導体・デジタル産業戦略」に深く関わる主要メンバーが登壇し「グローバルリーダーを目指す産官学戦略」をテーマに、日本における半導体産業の在り方や社会変革の方向性などについて語った。

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なぜ今だったのか、最先端ロジック半導体に挑戦する3つの理由

 ただ、半導体の開発競争において大きく遅れた日本で最先端ロジック半導体の技術獲得を進めることに対し、懐疑的な見方が多いことも事実だ。なぜ、このタイミングで取り組む必要があったのだろうか。

 甘利氏は3つの点を示す。1つ目は、台湾海峡有事の可能性だ。「もし海峡封鎖が本当に起こった場合、先端ロジック半導体の供給が7〜8割止まることになる。その時どうするのかというのを考慮する必要がある」と甘利氏は経済安全保障としての考えを語る。

 2つ目は半導体技術の転換点にあるという点だ。「半導体の歴史は1つの方向性で行き詰まると次の新たな方向性での進化が始まるのを繰り返してきた。今2次元で微細加工の競争がかなりのところなで来ている。3次元など新たなフェーズに入ろうとしている中で、スタートラインが引き直されるタイミングとなっている。ここを逃してはいけない」(甘利氏)。

 3つ目が、ハイエンドのロジック半導体の用途が今後一気に拡大するという点だ。「量子コンピューティングや、自動運転車など、次世代の新たな社会を形作る技術の社会実装が2030年代に始まる。それを支えていく半導体が必要となるため、準備を進めていくということだ」と甘利氏は述べている。

 こうした背景を受け、実際に先端ロジック半導体製造に取り組む小池氏は「日本ではメモリだと世界に誇れる技術が残っているが、先端ロジック半導体は10〜20年遅れていた。これを埋めるためには、大きな挑戦が必要になるが、今回はIBMの協力でGAA(Gate All Around)技術についてのコラボレーションが行えるようになり、非常に幸運だった。これがなかったら到底埋めることができなかった」と語る。

 提携するIBMのギル氏は「世界のDX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)、サーキュラーエコノミーの実現するための課題解決を進めるにはコンピューティングシステムの果たすべき役割は大きく、これらを効率化することでパフォーマンスを上げることができる。IBMではGAA技術のノウハウがあり、これらを提供することで社会的なさまざまな課題解決につなげられる」と意義について語っている。

 また、東氏は「世界最先端の技術に触れながら開発を進めていくことが重要だ。日本では技術はもうないといわれているが、必要とされるものの中で半分以上はまだ残っていると考えている。現在のフェーズは、米国も台湾も韓国も全てBeyond 2nm技術の開発でしのぎを削っている状況だ。未来社会の明確なビジョンがあり、それを実現する技術として必要だから、開発をしている。未来の産業を作るために、時間をかけて、2nmや周辺技術も関わり合いながらやっていく。簡単にできるものではないが、今からやらないと間に合わない」と急ぐ意味について説明した。

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