高価なセンサーなしに「レベル4の自動運転」、インフラ型自動バレーパーキング:自動運転技術(2/2 ページ)
Robert Boschの日本法人ボッシュは2022年12月7日、東京都内でレベル4の自動運転に該当する自動バレーパーキングシステムを披露した。ドイツ連邦自動車交通局(KBA)が先日承認したばかりで、ドイツ シュトゥットガルト空港の駐車場のうちの1つで間もなく商用利用が始まる。
飛び出しに対応した急ブレーキも可能
実際の自動バレーパーキングシステムの利用は、メルセデス・ベンツのオーナー向けスマートフォンアプリを通じて予約するところからスタートする。駐車場を選択すると注意事項を通知し、駐車料金が発生する場合は料金の支払いもアプリ上で行う。駐車場に到着後、乗員が降車して予約を呼び出すと、自動バレーパーキングシステムが車両の移動を引き継ぐ(シートベルトが着用状態であるなど、人が乗っていると判断される場合は自動バレーパーキングを開始しない)。
自動バレーパーキングシステムのサーバと車両がWi-Fiによって通信し、自動バレーパーキングシステム用に駐車場内に設置したカメラで周囲の安全を確認しながら、乗降スペースから駐車スペースに移動させる。まずは、指定されたパターンでウインカーが点滅すると、駐車場内に設置されたカメラによって移動させる車両であることをシステム側で認識する。
自動バレーパーキング中の速度は時速10km以下を保ち、駐車場内に設置されたカメラで自車位置や車両の周囲2mの範囲に人やモノがいないことを判断しながら無人運転で移動する。クルマの前を人が急に横切ろうとした場合には、車両を緊急停止させる。障害物があることがあらかじめ分かっている場合には、急ブレーキではなくゆっくりと減速、停止する。周囲に動く物体がある場合は、2mの距離を保ちながら走行を継続することもできる。
クルマのオーナーが、帰るときにクルマをアプリで呼び出すと同様にして駐車スペースから乗降スペースまで無人走行する。Wi-Fiに問題が起き、自動バレーパーキングが継続できない場合は、スタッフが車両まで駆け付けて手動運転で移動させる。
ハードウェアにはこだわらない
現在、ドイツで稼働しているのは2台分の自動バレーパーキングシステムだが、サーバの拡張次第で自動バレーパーキングシステムで扱う台数は増やしていくことができる。Robert Boschで注力して手掛けるのは、駐車場のインフラ側のシステムや自動バレーパーキングのアルゴリズム、導入に当たってのコンサルティングであり、駐車場に設置するカメラなどハードウェアの製造、供給にはこだわっていない。
自動バレーパーキングシステムは現在ドイツでのみ法的に認められている。Robert Boschでは、2023年はドイツから欧州に拡大できるよう働きかけていく。
自動バレーパーキングシステムとして実用化に進んでいるが、まずはラインオフ後の車両の移動にレベル4の自動運転を使用し、市場投入後に駐車場のインフラが整い次第、あらためて自動バレーパーキングシステムを提供するという2段階での普及に前向きな自動車メーカーも多いという。
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