工場設備やキッチンの温度監視、200℃まで測定可能なサーマルダイオード赤外線センサー:FAニュース
三菱電機は2022年12月6日、オンラインで記者会見を開き、赤外センサー「MelDIR(メルダー)」の新製品として200℃まで測定可能な80×60画素の「MIR8060B3」を開発し、2023年2月1日からサンプル提供を開始すると発表した。発売は2023年5月を予定している。
三菱電機は2022年12月6日、オンラインで記者会見を開き、赤外センサー「MelDIR(メルダー)」の新製品として200℃まで測定可能な80×60画素の「MIR8060B3」を開発し、2023年2月1日からサンプル提供を開始すると発表した。発売は2023年5月を予定している。
対象市場規模は2030年に200億円超へ
赤外線センサーは表面温度の測定だけでなく、暗がりでも熱源を認識でき、太陽の逆光などの外乱光や煙などによる光の散乱の影響を受けにくい点から、不法侵入を検知する防犯や工場などの設備監視、部屋の空調、通貨人数カウントなど幅広い分野で使用されている。
MelDIRは2014年に打ち上げられた地球観測衛星「だいち2号」に搭載された、三菱電機独自のサーマルダイオード赤外線センサー技術をベースに開発した。2019年に80×32画素で−5℃〜+60℃まで検知可能な「MIR8032B1」を発売し、2021年には80×60画素と画素数を増やし画角も広げた「MIR8060B1」を投入。三菱電機のエアコン「霧ヶ峰ムーブアイmirA.I.+」や介護分野向けの映像解析ソリューション「kizkia-Knight」などに採用され、1年当たり数億円の売り上げを上げてきた。その他にも、防犯や人数カウント、キッチンなどでも採用が検討されているという。
高額な赤外線カメラを用いることなく、熱源の識別、行動把握を行いたいというニーズは強く、三菱電機ではMelDIRの対象市場の規模が2030年には200億円を超えると見ている。
ユーザーの開発期間を短縮する工夫も
より熱いモノの温度を測定したいというニーズに対応したMIR8060B3は、サーマルダイオードの構造自体は従来と変わらないものの、信号処理とレンズの最適化により200℃まで検知できるようになり、温度分布も測定可能だ。
キッチンでの応用例としては、炒め料理の調理前のフライパンの温度や具材追加前の具材の温度分布、調理完了前の温度分布を測ることで料理のタイミングの最適化を図ることができる他、油の発火や吹きこぼれなども防止できる。工場での応用例としては、装置の温度分布を測定し、異常発熱箇所を検知することで、発熱箇所に人が近づくと警報を発するなど工場の設備管理、安全確保が可能になる。
「工場の中で動いている設備であったり、ヒーターなどで熱を与えている設備は温度管理が非常に重要になるため、通常のオペレーションの温度より高くなった状態を検知したいという声があった。食品工場でも、より高度な温度情報が得られることで、よりおいしい料理を作ることに貢献できる」(三菱電機 半導体・デバイス事業本部 高周波光デバイス製作所 赤外線センサデバイスプロジェクトグループ プロジェクトマネージャー 太田彰氏)
さらにMIR8060B3を活用したユーザーの製品開発期間短縮を支援するため、キッチンや工場での設備監視における熱画像例を提供する他、従来より基板面積を約45%、組み立て後の最大厚を約25%に縮小したデモキットを、サンプル提供開始と同時に提供する。またハードウェア、ソフトウェアの開発に必要な情報をリファレンスデザインとして提供する。
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