製品IoTサービスの開発期間を9割削減、シャープ関連会社がスマート家電の知見活用:製造マネジメントニュース
AIoTクラウドは2022年11月24日、IoTサービスブランド「WIZIoT(ウィジオ)」を立ち上げ、その第1弾として、機器メーカー向けにIoT製品の開発から運用に必要なツールとサポートをワンストップでSaaS(Software as a Service)として提供する「IoT開発運用SaaS」を同年12月15日から発売すると発表した。
AIoTクラウドは2022年11月24日、IoTサービスブランド「WIZIoT(ウィジオ)」を立ち上げ、その第1弾として、機器メーカー向けにIoT(モノのインターネット)製品の開発から運用に必要なツールとサポートをワンストップでSaaS(Software as a Service)として提供する「IoT開発運用SaaS」を同年12月15日から発売すると発表した。
AIoTクラウドは2019年にシャープから独立。2021年からはシャープの子会社であるDynabookの傘下に入り、製造業における製品のIoT化やデータサービス構築の支援など、AIoTプラットフォームの普及や価値向上などに取り組んでいる。シャープの家電製品などの他、住宅設備機器などを中心に、約700機種、400万台以上の製品のIoT化実績とノウハウを持つ。
ただ、一般的な製造業が製品のIoT化を進めるにはさまざまな課題がある。製品そのものの開発に加え、通信モジュールの製品の組み込み対応、専用ソフトウェアの開発、クラウドサーバとの接続、製品の遠隔制御や状態確認のためのアプリ開発、製品データ可視化のためのダッシュボード開発など、開発項目は多岐にわたる。従来はこうしたさまざまな項目を個別にカスタムで開発してきたが、多くの開発期間が必要となってしまっていた。
そこで、AIoTクラウドが新たに用意したのが「IoT開発運用SaaS」である。同社が持つ過去のノウハウを活用し、製品をIoT化してアプリケーションを構築するところまで一貫してSaaS型でサポートする。具体的には、製品のIoT化に必要な通信モジュール用のファームウェア、クラウドサーバ、アプリ、ダッシュボードとこれらのサポートをまとめて提供する。SaaS型であるためカスタムソリューションのような個別の要望に詳細に沿ったものではないが、開発期間を大幅に短縮できる他、コストも削減でき、簡単に素早く製品のIoT化を進めることができることがポイントだ。
さまざまな機器カテゴリーのノウハウを標準化することでノーコード開発ツールを用意しており、IoT開発や運用準備に必要な期間をAIoTクラウドの従来比で10分の1に短縮することに成功している。家電や住宅設備、センサーや業務用機器など、B2CからB2Bまで幅広い機器のIoT化やデータサービス構築に活用できる。
アプリのUIについても、遠隔操作や状態確認など基本的なものはテンプレート化しており、最短5日で素早くアプリのイメージを確認できる。機器接続フローなどの基本UIも標準化してワンセットで提供するため、こうした点でも開発の効率化が行えるとしている。
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