DMG森精機が最新機種で工程集約を提案、金属3Dプリンタの受託加工を東京でも開始:工作機械(2/2 ページ)
DMG森精機は2022年11月8〜13日まで、東京グローバルヘッドクォータ(東京都江東区)においてオープンハウスを開催し、工程集約をキーワードとして最新の工作機械を多数披露した。同月9日にはメディアにもその模様を公開した。
金属3Dプリンタを用いたAM Lab & Fab
2022年に開設した「アディティブマニュファクチャリング Laboratory & Facrication(AM Lab & Fab)」も公開した。AM Lab & Fabは同社の金属3Dプリンタを活用した積層造形の受託加工サービスを行う施設で、同年3月にまず伊賀事業所(三重県伊賀市)で先行オープンし、続いて東京グローバルヘッドクォータに設けた。
パウダーベッド方式とレーザパウダーDED(Directed Energy Deposition)方式の2種類の装置で材料や形状に応じてワークを造形する。プログラミングから積層造形、仕上げ加工まで同社で完結し、機密性の高い試作品などにも情報漏えいの懸念なく利用できる。
新たに開発したソフトウェア「CELOS DYNAMICpost」は、CAMで生成されたツールパス(加工経路)を工作機械の制御装置に適合したNCプログラムに変換するポストプロセッサ、切削加工シミュレーション、切削力最適化機能を1本のソフトウェアで使用できる。従来は個別に導入する必要があった。
CAMで作成したツールパスをポストプロセッサでNCプログラムに変換後、切削加工シミュレーション機能により加工形状の評価、干渉チェック、加工時間の予測を実施。切削力最適化機能で切削負荷を評価して、加工条件を最適化したNCプログラムを自動で生成する。
切削加工シミュレーションではDMG森精機のデジタルツイン技術で、機械構造や軸の加減速、工具交換時間など、同社の工作機械が持つ機能を忠実に再現、実際の切削時間や切削力を正確にシミュレーションする。「切削力を可視化して、それに応じて送り速度を合わせることができ、加工時間を短縮できる」(栗谷氏)。
その他、超音波加工とHSCミーリング加工が1台でできるリニアドライブ搭載の「ULTRASONIC 20 linear」や、ニコンと共同開発した計測プローブを主軸に取り付け、レーザスキャナーで複雑形状のワークを計測する非接触機上計測システムなどを紹介した。
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