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難接合素材を低温域で安定接合、ダイヘンが固相抵抗スポット接合システムを開発:FAニュース
ダイヘンは、難接合素材の安定接合が可能な固相抵抗スポット接合システム「Cold Spot Joining」を開発した。超ハイテン材やアルミ合金などの接合を可能にし、自動車など輸送機器の軽量化に貢献する。
ダイヘンは2022年11月7日、難接合素材の安定接合が可能な固相抵抗スポット接合システム「Cold Spot Joining」を開発したと発表した。大阪大学接合科学研究所の研究成果をベースに、共同研究を経て実用化した第1弾の製品となる。定置式は2023年1月、ロボットガン式は同年7月より受注を開始する。
新開発の接合システムは、素材の特性を損なうことなく、低温域で安定した高品質接合ができる。超ハイテン材やアルミ合金などの難接合素材の接合を可能にし、自動車をはじめとする輸送機器の軽量化への貢献が期待される。
1.5GPa級ハイテン材の安定接合により、車体を最大33%軽量化することで航続距離の延長に寄与する。軟質なアルミ合金を溶融せずに低温域接合するため、接合部分の強度低下やチリ(スパッタ)の発生を抑制するとともに、後工程での除去作業が不要になる。
抵抗スポット溶接と比較すると、消費電力を最大50%抑制できる。炭素を多く含む鋼の適用拡大により、大幅なCO2排出削減にも貢献する。低入熱で接合するため、電極などの消耗部品を長寿命化し、産業廃棄物の削減やコストダウン、環境負荷低減にもつながる。
接合機器以外は、既存の抵抗スポット溶接の設備が流用可能で、容易に導入できる。今後は、新たな難接合素材への対応や異種金属同士の接合を可能とする製品開発を進めていく予定だ。
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