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自動車産業550万人はモビリティ産業850万人に、「モビリティショー」2023年開催モビリティサービス(2/2 ページ)

日本自動車工業会は2022年11月18日、次回の東京モーターショーの開催概要を発表した。

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モーターショーの来場者数が伸び悩む理由は

 モーターショー委員会 委員長の長田准氏は「モビリティ産業は『新しい資本主義』の中軸となる分野であり、さまざまな産業と連携して経済成長につなげていけると総理大臣の岸田文雄氏とも確認した。モビリティ産業が持続可能な社会をつくるペースメーカーとなるべく、モビリティで日本を元気にしていきたい。ジャパンモビリティショーを通じて日本の未来が明るいことを多くの人に体感してもらいたい」と抱負を述べた。

 自工会では、これまで「自動車産業の550万人」というスローガンの下、産業の裾野の広がりや雇用への貢献、自動車産業としての連携を訴えてきた。ここに鉄道や航空、旅客、通信など移動に関わる領域も含めたモビリティ産業として試算すると、働く人の規模は「850万人」に広がるとしている。モビリティ産業の成長により、2030年には1000万人に拡大すると見込んでおり、モビリティ産業としての仲間づくりや発展を訴えていく。

 また、海外のモーターショーの来場者数が落ち込んでいることについては、「自動車メーカーの思いが一方的に強くなってきて、お客さまが何を見たいかではなく、EV(電気自動車)のラインアップを示すプレゼン合戦になっていたのではないか。それをみんなが見たいと思っていたのか、反省すべきではないか」(長田氏)とコメントした。

G7広島サミット、税制、春闘

 2023年は、ジャパンモビリティショー以外にも自動車産業に関わるイベントが予定されている。5月に開催されるG7広島サミットでは、カーボンニュートラル達成に向けた“日本らしい道筋”に対する理解を得ることを目指す。日本の自動車産業が世界に先駆けて電動化や燃費改善に取り組んだこと、カーボンニュートラルに向けた多様な選択肢の用意ができていることを訴える。各国の事情や地政学的リスクを踏まえると、それぞれの地域でのアプローチが重要になることも発信する。


過去の実績や多様な選択肢をアピールする[クリックで拡大] 出所:自工会

 自動車関連の税体系の簡素化や税の軽減も引き続き訴えていく。短期的な要望としては、足元の物価高や納期長期化による負担を踏まえて、電動車の買い換えが促進されるような減免税の拡充を挙げている。「エコカー減税は据え置きで延長してほしいと伝えている。納期が半年以上になる異例の事態である。3月末でエコカー減税の対象が変わると購買意欲にも悪影響だ。混乱を招きかねないので据え置きを要望する」(自工会 会長の豊田章男氏)。抜本的な税制見直しに向けた道筋をつけることも課題としている。

 走行距離課税については、電動車の普及にブレーキをかけ、クルマが不可欠な地方や物流での税負担増加につながるため問題であるとの認識を示した。「自工会はただ税金を減らすことを求めているのではない。未来に向けて投資が必要であることは理解している。財源の綱引き合戦に終わるのではなく、日本をどうしていくのか、そのために税金をどう活用するのか、議論をお願いしたい。経団連モビリティ委員会や、同委員会を通じた官邸とのモビリティ懇談会の場で議論していきたい」(豊田氏)。

 豊田氏は春闘に関連して、労働組合がなく、賃上げの話し合いの場に立てていない自動車産業の従事者にも言及した。「賃上げを継続的にやってきたが、550万人のうち3割にしかそれが届いていない。それ以外は組合がなく訴える場もない。話し合いの場に立てていない7割の人にどのように影響を与えられるか。話し合いの場に立った人だけでなく、そこに立てない人のために何ができるか、考えていく必要がある」(豊田氏)。

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