ソフトバンクロボティクスがRI宣言、製造から保守までトータルサポート実施:サービスロボット(2/2 ページ)
ソフトバンクロボティクスは2022年10月18日、東京都内及びオンラインで記者会見を開き、新たに打ち出したロボットインテグレーター(RI)戦略および新商品となる配送ロボットについて説明した。
ビジョンファンド出資会社の配膳ロボットを投入
配膳ロボットでは新たに2つのロボットを投入し、ラインアップを拡充する。
「Delivery X1 Pro」「Delivery X1 Standard」は中国のGaussian Roboticsの製品で、ソフトバンクビジョンファンドが2021年に出資している。特特徴は勾配の角度が水平面から鋭角に立ち上がるような「鋭角スロープ」も登ることができる点で、最大30kgの荷物を積載可能だ。通路幅は60cmから対応する。名古屋プリンスホテル スカイタワー(愛知県名古屋市)内のレストランで、テーブルから食器などを片付ける下膳に用いられている。
同じくソフトバンクビジョンファンドが出資している、中国のKeenon Roboticsの配送ロボット「T8」の導入も検討している。これまで展開してきたServiやKeenon Roboticsの「Keenbot」と合わせて、「これらをもってフルラインアップとしていく。お客さまに最適なロボットを組み合わせて提供する」(ソフトバンクロボティクス 常務執行役員 兼 CBOの吉田健一氏)。
ロボットの提供だけでなく、座席管理や従業員のシフト管理、POSなど周辺システムとの連携を進めて業務の効率化を進める。NECプラットフォームズとは、配膳ロボットとテーブルオーダーシステムの連携を可能にする開発を進めている。配膳ロボットが料理を届け、テーブルのタブレット端末では注文した料理の入った段数と料理に関する説明などが行われる見通しだ。「配膳ロボットとPOSが連携することで高度な顧客体験が実現する」(吉田氏)。
ロボット開発会社向けには、ソフトバンクロボティクスのこれまでの経験を基に、企画、設計から製造、保守に至るまでをサポートする「ロボットサポートサービス」を開始する。テレイグジスタンスのサポートを既に行っている。同社はコンビニエンスストアの飲料の陳列作業を行うロボット「TXScara」を開発、300店舗への導入を進めている。
テレイグジスタンス 代表取締役 CEOの富岡仁氏は「2026年までに国内にある主要ブランドのコンビニエンスストアの5万3000店舗全てに入れたい。ただ、一番のネックはリソースがないこと。その中で、ソフトバンクロボティクスの製造、量産のサポートがわれわれのニーズに合った。将来的には、アフターサポートに関しても協議をしていきたい」と語る。
アフターサービスについては、出荷前検査や受入検査、キッティング、導入サポート、コールセンターによる対応、修理や初期不良を新品同様に整備するリファービッシュ、ロボットの改善サポートなどを行う。「ロボットは販売した後が大変で、予期せぬ使用方法による故障が多い。Papperも発売初月はほぼ毎日機体の交換が発生していた。直近では月間の機体交換率は2.1%まで下がった。これらの経験から生まれたサービスロボットの専門家がサポートする」(ソフトバンクロボティクス プロダクト本部長の唐津慎一郎氏)。
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