CEATEC AWARD総務大臣賞にA4サイズのローカル5G基地局、小型化でも導入コストは半減:CEATEC 2022
NECは「CEATEC 2022」(2022年10月18〜21日、幕張メッセ)において、ローカル5Gに関する製品展示などを行った。
NECは「CEATEC 2022」(2022年10月18〜21日、幕張メッセ)において、「CEATEC AWARD 2022」の総務大臣賞を受賞したローカル5G基地局「UNIVERGE RV1200」の展示などを行っている。
無線部、制御部を1つの筐体に収納
5Gは超高速、大容量、超低遅延、多数同時接続などのメリットを持つ。その中で、ローカル5Gでは通信事業者ではない企業が、特定エリアに独自の5Gネットワークを構築できる。NECが2022年から販売しているローカル5G基地局「UNIVERGE RV1000シリーズ」は、基地局の無線部(RU)、制御部(CU/DU)を1つの筐体内に収めた、オールインワンモデルの一体型小型ローカル5G基地だ。
Sub6一体型基地局 UNIVERGE RV1200は250×210×57mmというA4サイズ近くまで小型化に成功した他、防塵、防水規格のIP65に準拠しており屋内、屋外問わず設置可能となっている。
無線部や制御部を一体化したことで、億単位にのぼることもあった従来の分離型基地局に比べ導入コストを50%以下に抑えることができた。「ローカル5Gという言葉自体は知られてきており、話を聞きたいという引き合い自体は多かった。これまでは価格がネックになっていたが、価格が下がり、サイズとしても使い勝手がよくなったことで、導入の検討を始める顧客が増えている」(説明員)。
製造業ではローカル5Gを活用したAGV(無人搬送車)やスマートグラスのニーズが出ているという。Wi-Fiも利用されているが、電波の干渉が起きて通信が不安定になる恐れがある。ローカル5Gでは割り当てられた免許周波数帯を用いるため通信が安定、専用SIMによりセキュリティも強固になる。
有線から無線への切り替えニーズもある。ローカル5Gを活用して無線化することで、生産ラインのレイアウト変更を行う際に有線のような面倒な作業がなくなる他、コストも抑えられる。ローカル5Gの通信を使ったスマートグラスによる作業支援として、初心者でも遠隔から熟練技術者のサポートを受けることができる。5Gのネットワーク構築に必要な5Gコアは、NECのクラウドサービスで提供している。
課題は製造現場にある各種デバイスのローカル5Gへの対応だ。例えば、5G対応のスマートフォンを持っていても、ローカル5Gとつながることはできない。NECではデバイスと基地局をつなぐローカル5G/キャリア5G対応ゲートウェイ「FG900CS」や、5G対応ノートPC「Versa Pro UltraLight タイプVG」なども展開、総務省へのローカル5G免許申請から導入、保守に至るまで一貫してサポートしている。
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