ローカル5G導入を省力化、NECが無線/制御部をまとめた一体型基地局発売:製造業IoT
NECは2022年1月20日、ローカル5Gの導入に必要な無線部、制御部を筐体内に収めた一体型基地局「UNIVERGE RV1000」シリーズから、2モデルの新製品を発売すると発表した。ローカル5G導入の手間を省力化し、迅速な展開を実現する。
NECは2022年1月20日、ローカル5Gの導入に必要な無線部、制御部を筐体内に収めた一体型基地局「UNIVERGE RV1000」シリーズから、2モデルの新製品を発売すると発表した。ローカル5G導入の手間を省力化し、迅速な展開を実現する。
ローカル5G導入の手間を軽減
新製品は、6GHz以下の4.7GHz帯を用いる、いわゆるサブ6に対応した「UNIVERGE RV1200(以下、RV1200)」とミリ波の28GHz帯対応の「UNIVERGE RV1300(以下、RV1300)」の2種類。
RV1200のサイズは250×210×57mmで、重量は3kg。対応周波数は4.6〜4.9GHz。通信速度は下りが660Mbpsで、上りが60Mbps。RV1300のサイズは364×335×118mmで重量は8.5kg。対応周波数は28.2〜29.1GHz。通信速度は下りが1Gbpsで、上りが100Mbps。いずれも同時接続数は16台までだが、今後のソフトウェアアップデートで上限値を引き上げる予定。
受注開始時期はRV1200が2022年3月、RV1300は2022年度第1四半期を予定している。希望小売価格はRV1200が98万円で、RV1300が498万円。
また、RV1200に加えてローカル5G導入に必要なUPF(User Plane Function)、5Gコアクラウドをセットにしたスターターパックも用意している。利用料金は498万円からで、運用監視や保守などを含むマネージドサービスを併せて利用(1年間)する場合は798万円から。
ローカル5G導入に際しては、機器購入や工事などの初期費用が掛かる、また、ローカル5Gの基地局設置に必要な技術習得に手間が掛かるという課題もあった。今回発表した2製品は、これらを解決した上で、より迅速に、スモールスタートでローカル5G導入を進められるようにする。
具体的には、一体型基地局であるため、現場でのローカル5G環境構築のコストが大きく下がる。ネットワークの構成もシンプルなものにしやすい。比較的小型なため、場所の自由度も高まり、屋内や天井、壁が入り組んだ場所などにも設置することも容易になる。
また、今回発表した一体型基地局に加えて、従来の分離型基地局も併せて提供を続けていく。一体型は約1万m2以内のエリアに、それ以上の広さの場合は分離型を使ってカバーするなど使い分けを想定する。
NECではRV1200とRV1300を活用して、ローカル5Gの企画・検証、設計・導入、運用監視・保守に対応するコンサルティングサービス、インテグレーションサービス、マネージドサービスに加えて、セキュリティサービスをワンストップで提供する。また同社は2025年度までに、ローカル5G事業関連で500億円の事業規模を目指すとしている。
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