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打ちやすさの秘密は3度の傾き、人間工学を生かしたカシオの最新電卓イノベーションのレシピ

カシオ計算機は2022年10月6日、操作面に傾斜を付けるなどで使いやすさを向上させた「人間工学電卓 JE-12D/DE-12D」を、同月21日からオープン価格で発売すると発表した。人間工学的な観点からキーを打ち込みやすいようなデザインを採用している。

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 カシオ計算機は2022年10月6日、操作面に傾斜を付けるなどで使いやすさを向上させた「人間工学電卓 JE-12D/DE-12D」を、同月21日からオープン価格で発売すると発表した。人間工学的な観点からキーを打ち込みやすいようなデザインを採用している。発売に先立ち、「b8ta Tokyo - Yurakucho」に同月6日〜31日にかけて出品する。


「b8ta Tokyo - Yurakucho」に出品された製品。右が「DE-12D」、左が「JE-12D」[クリックして拡大] 出所:カシオ計算機

右手操作時のフィット感と打ちやすさを重視

 発売する2種類の内、JE-12Dは177.5×111×24.4mmのジャストタイプ、DE-12Dは188×140×35mmのデスクタイプとなっている。いずれも「人が電卓に合わせるのではなく、電卓が人に合わせる」をコンセプトに開発した。カシオ計算機の調査では電卓使用時には「右手指3〜5本」を使うことが多く、この条件下で、既存の電卓製品よりも打ちやすく手にフィットしやすい構造を追求した。主に、企業の実務における用途を想定している。


3度の傾斜が付けられている[クリックして拡大] 出所:カシオ計算機

 例えば、本製品のキーの操作面には約3度の傾斜が設けられている。「電卓操作時には手が外側に傾きやすい」という人間の特性を考慮したもので、右手操作時のフィット感を重視したデザインとなっている。ただし、キーは傾斜に合わせて斜めにするのではなく、階段状に水平に配置した。これは、人間は傾いた電卓を操作した際にも打鍵方向が垂直方向になりやすく、それに合わせて自然な打ちやすさを実現するための工夫である。

 筐体形状については全体的に丸みを帯びたデザインにすることで、曲線形状によって柔らかな印象を生み出すようにしたという。筐体底部には波状の溝があり、滑り止めの機能を果たしている。

産総研との共同研究成果を活用

 今回の製品に適用された人間工学的知見は、2018年4月からカシオ計算機が産業技術総合研究所と行ってきた共同研究の成果である。カシオ計算機 教育BU 商品戦略部 ハード戦略室の木村加奈子氏は、「そもそも電卓の操作はどういう状態で行われるのか、既存の電卓から何を変えるべきかをひもとこうとした。モーションキャプチャーや3次元の力覚センサーなどを用いて、電卓操作時の手や指の動き、姿勢、キーを押し込む方向、筋活動量などを分析した」と語る。

 その結果、電卓を操作する手が外側に傾くことを発見し、電卓の操作面の構造を人の手に合わせることで操作感向上を図るというアイデアが生まれた。なお、手だけでなく指の動作データを測定する事例は、これまで「あまりない」(木村氏)とする。

 角度を決めるに当たっては、0度から9度までの傾きを持つ電卓の試作品を3度刻みで作り、それぞれの使用感を検証した。その結果、操作時の打ちやすさ、違和感の少なさといった観点から、3度の傾斜が最適だと判断したという。実際に3度の傾斜を持つ電卓と、傾斜のない従来の電卓の使用感をテストして比較したところ、約83%のテストユーザーが従来品よりも打ちやすいと回答している。

 開発のきっかけについて木村氏は、「新しい電卓を作ろうと意気込んでいたわけではなく、少しでも良くする余地を探りたいと考えて研究を開始した。世の中の電卓は大体同じデザイン、使用感と思っている人も多いだろうが、その意識を少しでも変えたかった」と振り返る。

 近年、スマートフォンのアプリやExcelなどの表計算ソフトなど、電卓以外の計算手段が普及しており、会社の実務でもこれらを活用するという人も増えている。これに対して木村氏は、「電卓という専用機の、しっかりと“打っている”感覚には特有の良さがある。今回の製品には計算業務はミスを出さないようにするため緊張するものだが、こうしたストレスを軽減する仕組みを取り入れた。これまで使ったことがない層にもこれをきっかけに使ってもらえればと思う」と語った。


「b8ta Tokyo - Yurakucho」の出品ブースの様子[クリックして拡大] 出所:カシオ計算機

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