EVにラーメン自販機、最新家電、「モノを売らない小売店」が渋谷に新店舗:スマートリテール(1/2 ページ)
b8ta Japanは2021年11月15日に、最新家電やガジェットなどを展示する米国発の体験型小売店舗「b8ta TOKYO Shibuya」をオープンすると発表した。日産自動車の新型クロスオーバーEV「アリア」などを置いている。
b8ta Japan(以下、b8ta)は2021年11月15日に、最新家電やガジェットなどを展示する米国発の体験型小売店舗「b8ta TOKYO Shibuya」(東京都渋谷区。以下、渋谷店)をオープンした。b8taでは最大級の展示品となる日産自動車の新型クロスオーバーEV(電気自動車)「アリア」を置く他、食料品の試飲、試食ができるスペースを設けるなど新しい試みを行っている。
製品に対する「生の声」を収集
b8taは米国シリコンバレーで創業したスタートアップで、現在、米国の他に、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、日本の4拠点で事業を展開中だ。国内では2020年8月に、有楽町店(東京都千代田区)と新宿店(東京都新宿区)の2店舗をオープンしている。両店舗はオープンから1年間で、合計約45万人が来店した。渋谷店は国内3店舗目となる。
国内でb8taを展開するベータ・ジャパン合同会社 CEO 北川卓司氏は、b8taの特徴を「モノを売らない小売店」と表現する。
b8ta店内には、各企業が出展した家電や日用品などさまざまなジャンルの製品が展示されている。来店客はこれらの製品に実際に触り、体験できる。この際、天井に設置されたAI(人工知能)カメラが、来店客の「区画の前を通過した回数」(Impression)や「製品の前で5秒以上立ち止まった回数」(Discovery)などを計測して記録する。
これにデモグラフィックカメラのデータと、店舗スタッフが来店客に直接ヒアリングして得た製品に対する顧客の「生の声」を併せて、匿名化した上で出品社にフィードバックする。出品社は回収したデータを基に、新たな製品開発や改修に知見を生かすことができる。
b8taの主な収益源は、企業から支払われる出店料と、定性/定量データの情報提供料である。出品社の希望次第で店内での製品販売も対応するが、基本的には「売らない小売店」のスタンスで事業を展開する。
3D-Lidarで店外人流データも計測
渋谷店ではアリアの他、指輪型決済デバイス「EVERING」など最新の電化製品やガジェット、ロート製薬のスキンケアブランド「SKIO」などの化粧品、飲食品などを多数展示している。店舗面積は243m2。
北川氏は今回オープンした渋谷店を、既存店舗にはない新しい4つの特徴を備えた実証実験店舗「b8ta 1.5」と位置付ける。
特徴の1つ目は、店舗前の人流データを計測できるシステムを導入した点だ。デンソーウェーブと協働して店頭付近に3D-LiDAR(ライダー)データを設置することで、店舗前半径約15mを通った人数を正確に計測する。実際の入店者との比率を算出することで、来店者の傾向変化を把握するマーケティングデータとして活用できる。カメラ画像を使用しないため、通行人のプライバシーに配慮した計測が可能である。
同システムは実証実験として試験的に導入される。期間は2021年11月15日から約1年間を予定する。
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