人やモノの位置を見える化するRFID、キヤノンと大林組が建設現場で検証:組み込み開発ニュース
キヤノンは、腕に取り付けて現場を巡回するだけで、RFIDタグを付けた人やモノの位置情報を収集できる「Canon RFID 位置情報ソリューション」を開発した。DXを推進する建設業界への展開を見込み、大林組の建設現場で実証実験を実施した。
キヤノンは2022年8月31日、人やモノの位置を見える化する「Canon RFID 位置情報ソリューション」を開発したと発表した。DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する建設業界への展開を見込み、同年8月上旬に、大林組の建設現場で実証実験を実施した。2023年中の提供開始を予定している。
キヤノンが開発したRFIDリーダーは、360度方向に電波を発するアンテナや移動量検知機能を備える。大きさ約75×137×14mm、重さが約118gと、持ち運び可能なサイズのため、腕に取り付けて現場を巡回するだけで、RFIDタグを付けた人やモノの位置情報を収集できる。
位置情報は、専用アプリケーションを介してクラウドに自動でアップロードし、Webアプリで確認できる。RFIDタグは、RFIDリーダーからの電波を動力源とするため、電池交換の必要もない。
大林組との協働による実証実験では、建設現場の資材や機材、作業員の正確な位置を効率的に把握できるか検証した。建設業界では、作業員の高齢化や人材不足に加えて、今後、36協定により残業上限に規制がかかることから、労働環境改善や生産性向上を必要としている。同ソリューションを適用することで、人やモノを探す時間の削減、現場管理者の作業効率化、最適なリソース配分によるコスト削減に貢献する。
キヤノンは同ソリューションの用途として、建設業界の他、医療、物流倉庫、小売、オフィス分野などでの、資材や製品の管理、販売戦略を見込む。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 35%小型化とRFID対応機種を追加、業務用ラベルプリンタの新製品
ブラザー販売は、高速大量印刷が可能な業務用ラベルプリンタ「TJ-4T」シリーズの新製品3機種を発表した。従来機種より体積を35%削減している。新機種にはUHF帯のRFID対応機が含まれており、物流業界などRFIDラベルの大量印刷ニーズに応える。 - 棚卸や入出管理に適した小型アクティブRFIDタグ、実証実験を開始
ユーピーアールは、従来のアクティブRFIDタグを小型化した「DXタグ」の実証実験を開始した。免許不要の920MHz帯を利用し、固定資産や物品の管理、児童の在校状況、畜産動物の所在確認などの遠隔管理を可能にする。 - 製造DX支援ソリューションにRFIDによる製造進捗管理機能などを追加
凸版印刷は、同社の製造DX支援ソリューション「NAVINECT」に、RFIDを活用した製造進捗管理機能とERPとの連携機能を追加した。生産工程管理の質を向上し、管理業務を省力化する。 - RFIDと光センサー技術により通過車両を自動認識するシステムを共同開発
トッパン・フォームズとトヨタ自動車は、RFID技術と光センサー技術で通過車両を自動認識する「車両通過検知システム」を共同開発した。通過方向を自動識別するほか、RFIDタグなどを読み取ることで、車両の情報収集と台数集計を自動化できる。 - 薬包のIoT化により、薬の飲み忘れを防止するシステム
MEDIOTOLOGYとデンソーウェーブは、薬包をIoT化することで、飲み忘れを防止するシステムを開発した。Apple製品と連携し、離れた場所から薬箱の中の状態をリアルタイムに確認できる。 - ミシュランと村田製作所がタイヤにRFIDタグ埋め込み、2024年ごろから乗用車にも
村田製作所は2021年12月13日、ミシュランとタイヤ内蔵用RFIDモジュールを共同開発したと発表した。RFIDモジュールにより、タイヤを製造段階から使用後に廃棄するまでライフサイクル全体で管理する。他のタイヤメーカーも利用できるようにし、業界標準となることを目指す。