ホンダは電動二輪車を2030年に350万台、水素エンジンやハイブリッドには消極的:電動化(2/2 ページ)
ホンダは2022年9月13日、2040年代の二輪車でのカーボンニュートラル達成に向けた戦略を発表した。
水素エンジンやFCバイクは「難しい」
二輪車は四輪車とは異なり、HEV(ハイブリッド車)化は難しいとみている。車両の重量などからエネルギー回生が十二分に使えないことがその要因だ。マイルドハイブリッドであれば二輪車でもバランスをとれるが、二輪車の電動化ではストロングハイブリッドよりもEVの方が親和性が高いという。
水素エンジンや燃料電池など水素を使うパワートレインについては「選択肢としてはあるが、優先順位は高くない。二輪車の車両サイズに燃料電池や水素タンクを収めながら安全性を確保するのは課題が大きい。パッケージとして乗る楽しさを残し、価格を度外視したとしても非常に難しい」(ホンダ 常務執行役員の野村欣滋氏)と消極的だ。
ヤマハ発動機やカワサキモータースは、大型バイクの脱炭素化で水素エンジンを有力視している。大型バイクはバッテリーの走行スペースや走行可能な距離の課題や、大型バイクに求められる走行性能を考えると電動化が難しいためだ。ヤマハ発動機とカワサキモータースは共同研究の検討も開始している。
各領域での商品計画は
コミューターの領域では、企業の環境意識の高まりにより、ビジネス用の電動二輪車の需要が高まっている。走行距離や充電時間の課題解決につながる交換式バッテリー「Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」を採用する。
ビジネス用電動二輪車は既に日本郵便やベトナムポストで導入実績がある。タイランドポストとも共同実証を開始しており、2022年9月からタイで「BENLY e:(ベンリィ イー)」の生産と販売を始める。ビジネス用電動二輪車の海外展開を加速させる。
パーソナルユースのコミューターはアジア、欧州、日本で2024〜2025年に2モデルを投入する。市場環境や用途、技術進化も踏まえて、交換式バッテリー以外の選択肢も視野に入れて検討する。
最高時速25〜50kmの電動モペットや、最高時速25km以下の電動自転車も2024年までに中国を含むアジア、欧州、日本に5モデルを投入する。現在は電動二輪車の世界市場の9割以上を電動モペットと電動自転車が占めており、中国が最大のマーケットとなっている。日常の手軽な移動手段として、中国だけでなくグローバルにも需要が広がると見込む。
ファンモデルは現在プラットフォームを開発中で、これを採用した大型モデルを2024〜2025年に日米欧で合計3モデルを投入する。次世代に操る喜びを知ってもらうためのキッズ向けモデルも用意する。
充電インフラに関しては、交換式バッテリーの電動二輪車を展開するのに合わせて、バッテリーシェアリングを広げる。既に、インドネシア、インド、日本でそれぞれバッテリーシェアリングを展開している。インドネシアと日本では共同出資会社で運営しており、インドでは電動三輪タクシー向けのバッテリーシェアリングサービス事業を2022年中に始める。アジア各国にもバッテリーシェアリングを広げていく。
ソフトウェア領域では、子会社のDrivemodeと協力し、電動二輪車向けのコネクテッド領域を強化する。バッテリー残量と走行距離を踏まえた最適なルートや充電スポットの案内、安全運転コーチング、アフターサービスの支援などを、2024年発売のコミューターから順次提供する。
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