三菱マテリアルが非鉄金属リサイクル企業を完全子会社化、燃料高騰などに対応:製造マネジメントニュース
三菱マテリアルは2022年9月9日、小名浜製錬の株式を追加取得することで同社の完全子会社化を行うと発表した。完全子会社化を通じて、リサイクル原料の前処理施設建設を促進することで、事業強化を図る方針だ。
三菱マテリアルは2022年9月9日、非鉄金属精錬を手掛ける子会社の小名浜製錬の株式について、DOWAメタルマインと古河メタルリソースが保有する株式を取得することで完全子会社化すると発表した。株式取得日は2023年3月31日の予定で、取得金額は非公開。完全子会社化を通じて、リサイクル原料の前処理施設建設を促進することで、事業強化を図る方針だ。
小名浜製錬は非鉄金属の受託精錬や加工、硫酸やその他工業製品の製造/販売、一般廃棄物や産業廃棄物の処理を手掛ける企業である。1963年12月に設立され、資本金は69億9900万円。本社は東京都千代田区にある。
三菱マテリアルのプレスリリースによると、小名浜製錬の主力拠点である小名浜製錬所(福島県いわき市)は東日本唯一の銅製錬所で、銅素材や銅合金の安定的な供給を果たす役割を担ってきた。さらに、使用済み自動車を破砕した際に生じるシュレッダーダスト(ASR)の国内発生量の約15%を処理して「国内トップシェア」(プレスリリースより)を占めている他、有価金属を含む電子機器類の廃基盤であるE-Scrapの処理を行うなど、自動車や家電リサイクルの重要拠点としての役割を果たしてきた。
三菱マテリアルでは今回の完全子会社化を通じて、小名浜製錬においてリサイクル原料の前処理施設建設計画を推し進めるとともに、機動的かつ効率的な意思決定体制を確立していくことを目的とする。昨今の電力費や燃料費などといった外部要因による操業コスト高騰に対応して、厳しい市場局面を乗り越えるとしている。
現在の株主構成は現時点で三菱マテリアルが55.714%、DOWAグループで製錬事業を展開するDOWAメタルマインが31.621%、非鉄金属の製錬を行う古河メタルリソースが12.665%となっている。完全子会社化後は発行済みの株式である1400万株を三菱マテリアルが全て保有することになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 第2センター完工により、金銀滓の受け入れ・処理量が世界最大に
三菱マテリアルは、直島製錬所第2金銀滓センターを完工した。金銀滓(E-Scrap)の受け入れ・処理能力がさらに拡大し、グループ企業と合わせて年間約14万tと、世界最大規模になる。 - 揺らぐ日本の信頼性、三菱マテリアルも子会社2社で検査不正
三菱マテリアルは、連結子会社である三菱電線工業と三菱伸銅において、検査記録データの改ざんなど検査不正を行い、基準値に満たない製品を出荷していたことを公表した。 - 三菱マテリアルとNIMSが情報統合型材料開発システム構築に向け開発センター設立
三菱マテリアル(MMC)と物質・材料研究機構(NIMS)は、「NIMS-三菱マテリアル情報統合型材料開発センター」設立に関する覚書を締結した。 - 三菱マテが品質問題の再発防止状況を公表、検査自動化などを前倒しで推進
三菱マテリアルは2019年5月13日、同社子会社の三菱電線工業ほか4社で発覚した検査データの改ざんや検査不適合品を出荷した事案について、再発防止策の実施状況を公表した。 - 三菱マテリアルがさいたま市にアンテナ設計の支援センターを開設
三菱マテリアルの電子材料事業カンパニーは、さいたまオフィスに「アンテナソリューションセンター」を開設した。一般企業、学術機関など幅広いユーザーに、無線通信の最適化ソリューションを提供していく。 - 品質不正問題にどう立ち向かうのか、抜本的解決のカギはIoTと検査自動化
2017年の製造業を取り巻く動きの中で、最もネガティブな影響を与えたのが「品質不正」の問題だろう。「日本のモノづくり」のブランド力を著しく傷つけたとされるが、2018年はこの問題にどう対応するのかという点は、全ての製造業の命題である。人手不足が加速する中、解決につながる「仕組み」や「ツール」に注目が集まる1年となる。