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酢酸セルロース樹脂を活用した事業が広島県の海洋プラスチック対策に採択:材料技術
広島県の海洋プラスチック対策として、ダイセルの酢酸セルロース樹脂「セルブレンEC」を活用した事業が採択された。バイオマスプラスチックの普及と回収、リサイクルモデルの着実な社会実装を図る。
ダイセルは2022年8月29日、広島県が公募した海洋プラスチック対策の支援補助金に、同社の酢酸セルロース樹脂「セルブレンEC」を活用した事業が採択されたと発表した。セルブレンECの普及とリサイクルの実証検証から取り組み、2024年度までに県内全域への社会実装化を目指す。
酢酸セルロースは、最終的に水と二酸化炭素に生分解し、自然界へと循環する環境性に優れたバイオマス素材だ。酢酸セルロースを原料とするプラスチック(樹脂)のセルブレンECは、石油系プラスチックに代わる素材として注目を集めている。
セルブレンECは加工性にも優れ、一般的な生分解性プラスチックでは困難とされるマテリアルリサイクルが可能。採択された事業では、広島県内のスタジアム、ホテル、飲食店などで、セルブレンECを用いたカトラリーや宿泊アメニティーを使用し、回収ルートの構築とリサイクルを実施する。これらの取り組みにより、バイオマスプラスチックの普及と、回収、リサイクルモデルの着実な社会実装を図る。
また、セルブレンECは海洋分解性も備えており、プラスチックごみによる海洋汚染や、漁業、海洋生態系への影響の軽減などが期待される。瀬戸内海における海洋ごみのうち、漁業活動に関連するものが重量比ベースで約66%を占めており、採択事業ではカキ養殖用パイプへのリサイクルも計画している。
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