企業の女性管理職割合、平均9.4%で過去最高を更新するも1割に満たず:キャリアニュース
帝国データバンクが「女性登用に対する企業の意識調査」の結果を発表した。管理職に占める女性の割合は平均9.4%、政府目標の「女性管理職30%」を超える企業は9.5%と、いずれも過去最高を更新したものの、依然として1割を下回っている。
帝国データバンクは2022年8月30日、「女性登用に対する企業の意識調査」の結果を発表した。同調査は、全国の2万5723社を対象とし、1万1503社から有効回答が得られた。初めに、管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合を尋ねたところ、平均9.4%で過去最高を更新した。しかし、前年(2021年)比0.5ポイント増と改善幅は微増にとどまった。
女性管理職の割合を企業規模別に見ると、平均12.5%の「小規模企業」が最も高かった。「中小企業」は9.9%、「大企業」は6.8%で、規模が小さいほど割合が高いことが分かった。業界別に見ると、トップは「小売」で17.3%。次いで「農、林、水産」が15.6%、「不動産」が14.8%となっている。全体(9.4%)を下回った業界は「卸売」「製造」「運輸、倉庫」「建設」の4業界だった。
また、2022年4月の改正女性活躍推進法の施行に伴い、女性活躍に関する情報公開の対象が、従業員数301人以上から101人以上の企業に拡大された。女性管理職の割合の平均を各区分で見ると、従業員数「301人以上」は前年比1.0ポイント増の7.5%、新たに情報公開の対象となった従業員数「101人〜300人」は、同0.5ポイント増の6.0%となっている。
政府目標の「女性管理職30%」を超えている企業は1割弱
政府は女性管理職割合の目標として「女性管理職30%」を掲げている。今回の調査では、この割合を超えている企業が過去最高の9.5%となったが、依然として1割弱にとどまっている。
企業規模別に見ると、「女性管理職30%」以上の企業は、女性管理職割合の平均と同様に「小規模企業」が最も高く15.6%だった。従業員数別の2区分では、「301人以上」が4.0%、「101人〜300人」が2.7%となっている。業界別では、上位3業界は「小売」(20.8%)、「農、林、水産」(19.5%)、「不動産」(15.1%)だった。
続いて、自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合を調べた。結果は過去最高となる前年比0.9ポイント増の平均12.7%だった。女性役員が0%(役員が全員男性)の企業は53.5%で、依然として半数を超えている。
自社の女性管理職割合が、現在と比較して今後どのように変わると考えているかを尋ねたところ、女性管理職の割合が「増加する」と考えている企業は32.4%、「変わらない」は42.9%だった。女性役員の割合は「増加する」が12.5%、「変わらない」が58.6%となっている。
女性管理職の割合が「増加する」と回答した企業を規模別に見ると、大企業は49.2%となり、全体の32.4%を大きく上回った。中小企業は29.2%、小規模企業は20.9%となっている。女性役員の割合増加見込みについても、管理職と同様の傾向が見られたが、企業規模間でそれほど差はなかった。
女性の活躍推進策として、自社で実施していることは、「性別にかかわらず成果で評価」(59.4%)が最も多かった。2位は「性別にかかわらず配置、配属」(47.0%)と、男女平等に関わる項目が上位2位を占めた。また、女性が働きやすい環境づくりに関連する「女性の育児、介護休業を取りやすくする」(39.7%)が3位に、「就業時間の柔軟化」(25.9%)が5位にランクインしている。
男性の働き方改革に関する項目である「男性の育児、介護休業の推進」(12.6%)や「男性が家事、育児をしやすい働き方の推進」(8.3%)は約1割だった。女性のキャリアを支援する項目「キャリア開発、育成の充実」(7.0%)、「キャリアに関するモデルケースを提示」(2.2%)も低水準にとどまっている。
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