2022年下半期の転職市場、全14分野のうち13分野で求人増加と予測:キャリアニュース
転職サービス「doda」が「転職市場予測2022下半期」を発表。全14分野のうち13分野で求人が増加する見込みで、特にIT化、DX推進を担える人材の需要が高まっている。
パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」(デューダ)は2022年7月12日、「転職市場予測2022下半期」を発表した。転職市場予測2022下半期では、以下の14分野に関して、2022年下半期の転職市場全体における求人を予測している。
「IT・通信(ITエンジニア)」分野は、「2025年の崖」を回避するためのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や、政府が2022年の「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」にスタートアップ支援、デジタル支援を盛り込むといったことを背景に、ITエンジニアの需要は今後も高まり続けると予測される。
同分野の求人数はアプリケーション系、インフラ系ともに増加しており、アプリ系エンジニアは経験を問わず人員が不足している。インフラ系エンジニアも、社内SE、ITコンサルタント、SIer、SESなどの求人が、サーバ、ネットワーク、クラウド、セキュリティなどあらゆるジャンルで増加傾向にある。
「電気・機械(製造エンジニア)」分野は、新型コロナウイルス感染症の影響から回復している企業が増えていることを受け、採用ニーズが高まりそうだ。また、今後10年ほどで、団塊ジュニア世代が引退のタイミングを迎えるが、それを見据えて、未経験者を含めた新たな人材を採用したり、中堅社員の育成に取り組んだりする企業も増えている。
エンジニアとして経験を積んだ人材と未経験者、どちらも採用ニーズが増えている。特に語学力やマネジメント力を有する人材、電気やソフトウェア領域のエンジニアの需要が高まっている。
働き方改革やDX推進を背景に高まる採用ニーズ
「建築・土木」分野では、2024年4月に長時間労働を是正する労働基準法改正の猶予期間が終了することを背景に、働き方改革に取り組む企業が増加している。そのため人員充足に向けた動きが強まり、未経験者にもチャンスが広がっている。また、建設現場でIT導入やDX推進を担える人材、例えば3Dソフト「BIM」などの技術を有する人材のニーズが高まると見込まれる。
「金融」分野は、業界全体で社内SEやシステム企画、データ分析、データサイエンティストなどの採用ニーズの高まりが見られるほか、事務企画、DX推進といった求人も増加傾向にある。スマートフォンやPCを利用した金融サービスを金融業界以外の企業が立ち上げるケースも増加していることから、それに伴う人材募集も増加するとみられる。
「メディカル」分野は、行政やメーカーが品質管理の強化を進めており、規制関連を中心に求人が増加すると予想。今後もコロナワクチン、治療薬関連の治験実施などから臨床開発関連の人材ニーズが高い状況が続く。
「営業」分野は、求人数が全体的に増える見込みで、IT、Web、コンサルといった業種、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなどの職種を中心に採用が活発化するとみられる。
「人事」分野は、さまざまな職種で求人数が増加する見込み。新型コロナを機に採用を停止した企業や、早期退職者を募った企業が人員不足を補うために採用を進めていることから、特に採用担当部署の求人が増えている。また、離職率や社員のエンゲージメントを改善する企業も増加しており、人材開発や組織開発における採用ニーズも高まりそうだ。
「経理」分野は、決算関連での繁忙期を終えた下半期に転職を検討する人が増える傾向にあり、上半期と比べ転職市場がより活況になることが予想される。企業が求める経理人材として、日商簿記、公認会計士などの資格保有者、会計システムの経験者が挙げられる。
「法務」分野は、企業規模を問わず採用ニーズが高く、経験者は特に引き合いが多い。企業でIT活用が広がる中、事業を推進する「攻め」とリスクを管理する「守り」の両面の観点が必要とされており、同分野の採用ニーズの増加が予測される。
「企画・マーケティング」分野は、経済活動の再開によって企業がマーケティング活動を加速しており、特に経験者を中心とした求人が増える見込みだ。また、広告代理店、Web系企業では未経験採用が増加傾向にある。「販売・サービス」分野では、まだ新型コロナの影響は残るものの、全体的には求人数が増加すると予想。特に倉庫、物流関連、フードデリバリー、テークアウトサービス関連で、採用ニーズの高まりが見込まれる。
「事務・アシスタント」分野は、増員よりは欠員補充を目的とした採用が中心になることから、求人数は横ばいと予想。業績が好調なIT、Web業界では、Microsoft Officeに関する国際資格「MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)」の一般レベルのスキルを有する人材が求められる。
「クリエイティブ(Web系)」分野は、業界問わず、UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインを軸としたユーザー体験の向上が課題となっており、UX、UI(ユーザーインタフェース)デザイナーの採用ニーズが高まっている。「化学・素材」分野は、求人数の増加が見込まれる。背景には「カーボンニュートラル」「半導体」のキーワードがあり、電気自動車や半導体関連の人材ニーズが高まる見込みだ。
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