サプライヤーのGHG削減努力をしっかり反映、CDPの情報を使う国内初のサービス:脱炭素経営EXPO2022
NTTデータは「第2回脱炭素経営EXPO」において、GHG排出量を可視化するクラウドプラットフォーム「C-Turtle」を展示した。国際環境NGOであるCDPと契約を締結し、同団体が保有する企業の排出量情報などのデータをシステムに取り入れ、活用できるようにした。国内企業としては初めての取り組み。
NTTデータは「第2回 脱炭素経営 EXPO」(2022年8月31日〜9月2日、幕張メッセ)において、GHG(温室効果ガス)排出量を可視化するクラウドプラットフォーム「C-Turtle」を展示した。国際環境NGO(非営利団体)であるCDPと契約を締結し、同団体が保有する企業の排出量情報などのデータをシステムに取り入れ、活用できるようにした。国内企業としては初めての取り組みだという。
C-TurtleはGHGプロトコルにおけるスコープ1、2、3全てのGHG排出量を可視化できるツールだ。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った情報開示方式に対応している。集計したデータは、排出項目別にダッシュボード上で一元的に把握できる上、さまざまな切り口で分析することも可能である。
特徴として、CDPの保有するデータを活用することで、サプライヤー別の排出原単位を用いた「総排出量配分方式」でGHG排出量を算定できるようになった点が挙げられる。企業のGHG排出量を2次データとして算定する場合、一般的には原材料や製品の数、量、取引金額に、業界平均値などから導かれた排出原単位を掛け合わせる形で把握することになる。この方式では算定自体は容易に行えるものの、業界平均値を使用する都合上、得られた数値が各社のGHG排出量の実態と合わない事態も生じ得る。
これに対して総排出量配分方式は、NTTデータが独自に収集したデータとCDPのデータを組み合わせる形で求めた、サプライヤー別の売上高当たり排出量の割合を取引金額(活動量)に掛け合わせて、GHG排出量を求める。これにより、「サプライヤーが独自に実施しているGHG排出量の削減努力を数値により反映しやすくなる」(NTTデータの説明担当者)という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- いまさら聞けない「スコープ3」
現在、製造業をはじめとする産業界ではCO2などGHG排出のカーボンニュートラル化を目指す取り組みが急加速しています。その中で急務とされるのがGHGプロトコルにおける「スコープ3」の排出量削減です。スコープ3とは何なのか、簡単に分かりやすく説明します。 - 製造業の脱炭素って本当に可能ですか? 欧州よりも積極性が求められる日本
国内製造業は本当に脱炭素を実現できるのか――。この問いに対して、本連載では国内製造業がとるべき行動を、海外先進事例をもとに検討していきます。第1回は脱炭素を巡る欧州と日本の「共通点」と「相違点」を解説します。 - いまさら聞けない「CO2ゼロ工場」
「カーボンニュートラル化」が注目を集める中、製造業にとっては工場の「実質的CO2排出ゼロ化」が大きなポイントとなります。本稿では「CO2ゼロ工場」のポイントと実現に向けてどういうことを行うのかを簡単に分かりやすく紹介します。 - 人工光合成ではない「P2C」でCO2からCOを生成、東芝が工業化にめど
東芝がCO2(二酸化炭素)を燃料や化学品の原料となるCO(一酸化炭素)に電気化学変換する「Power to Chemicals(P2C)」を大規模に行う技術を開発。一般的な清掃工場が排出する年間約7万トンのCO2をCOに変換でき、CO2排出量が清掃工場の数十倍になる石炭火力発電所にも適用可能だという。 - 製造業の約70%がカーボンニュートラル対応の「全社方針あり」
日本能率協会は、製造業におけるカーボンニュートラル対応の現状や課題に関するアンケート調査結果を発表した。見える化による現場の省エネ活動は進んでいるが、今後はサプライチェーンを含めた取り組みが鍵になる。 - 2050年のカーボンニュートラル目標実現に向け、再生可能エネルギー導入を推進
安川電機は、地球温暖化の抑制に向けて、グループの環境ビジョンに2050年カーボンニュートラル目標を新たに設定した。グローバル事業活動に伴う二酸化炭素の排出量実質ゼロを目指す。