脱炭素阻む「意識の低さ」と「予算の少なさ」、製造業の実態調査レポート:脱炭素(2/2 ページ)
ウイングアーク1stは2022年7月19日、製造業を対象とした「カーボンニュートラルの実態調査」を発表した。調査からはカーボンニュートラルの重要性が業界全体で広く認識されている一方で、社内での取り組みを推進する上で「予算の少なさ」や「意識の低さ」といった課題を抱える企業が存在する様子が読み取れる。
CO2の排出量を把握しているのは約53%
CO2の排出量を把握しているかという問いへの回答は、「はい」が53.1%、「いいえ」が32.0%となった。「はい」と答えた回答者に把握手段を尋ねると、「算出ロジックを活用して自社で計算する」が77.0%、「外部の調査会社に委託する」が13.0%、「クラウドサービスを活用する」が7.5%であった。
カーボンニュートラル実現のための予算を確保しているか尋ねると、「はい」が43.5%、「いいえ」が28.4%となった。また、予算を増やす、あるいは確保していく方針があるかを聞くと、「積極的に予算を増やす方針」が19.1%、「やや予算を増やす方針」が29.0%だった。
取引先に脱炭素推進を要請されていると感じるのは55%超
取引先からカーボンニュートラルの取り組みを求められているかを尋ねると、「非常にそう思う」が20.1%、「ややそう思う」が34.7%となった。これらの回答者に、どのような場面で求められているかを自由回答形式で聞くと、「取引先認定の条件(にされている)」「監査や会社案内で取引先から取り組みの説明を求められる」「納入仕様書などへの記載(が必要)」「二酸化炭素低減目標が提示されている」などの回答が寄せられた。
また、カーボンニュートラルを行う企業へのイメージを尋ねると「技術力、開発力がある」が44.9%、「自然に優しい」が44.6%、「グローバル展開をしている」が37.0%という結果になった。
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