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ハイリスク薬の血中濃度をモニタリングする、使い捨てセンサーチップを開発:医療機器ニュース
芝浦工業大学は、ハイリスク薬のテオフィリンの血中濃度をリアルタイムに検出する、使い捨てセンサーチップを開発した。分子インプリントポリマーを固定した電極と、紙、PETフィルムで作製した基板で構成される。
芝浦工業大学は2022年6月7日、ハイリスク薬のテオフィリンの血中濃度をリアルタイムに検出する、使い捨てセンサーチップを開発したと発表した。安価で簡便に利用でき、抗菌薬や抗がん剤など他のハイリスク薬への応用も期待される。
今回の研究では、分子インプリントポリマー(MIP)を固定した電極と、紙、PETフィルムで作製した基板で構成する使い捨て型のテオフィリンセンサーを開発。テオフィリンを鋳型とするMIPを固定したカーボンペーストをセンサー基板に搭載し、テオフィリンの検出能力を評価した。
その結果、血液中に2.5μg/mlという低濃度で含まれる微量のテオフィリンでも安定して検出できた。微量のテオフィリンを高感度で検出する一方で、他の薬剤にはほとんど反応しなかった。また、検出に必要な時間はわずか3秒だった。
MIPは特定の標的分子を認識して結合するプラスチックで、薬物検出などへの応用が期待されている。このMIPを活用した今回のセンサー技術により、免疫抑制剤などの各種ハイリスク薬のモニタリングへの応用も期待される。また、高感度、高速かつ操作が簡便のため、患者自らが薬物の濃度を検出可能になるとしている。
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