音声再生専用ハードウェア内蔵の32ビットマイコン、12言語での発声も可能:組み込み開発ニュース
セイコーエプソンは、音声再生専用ハードウェアを内蔵した32ビットマイクロコントローラー「S1C31D41」を発表した。話速変換、音声ピッチ変換を備えており、音声を使った家電製品や健康機器、ビル、工場の音声付き警報機などに適する。
セイコーエプソンは2022年6月2日、音声再生専用ハードウェアを内蔵した32ビットマイクロコントローラー「S1C31D41」を発表した。音声を使った家電製品や健康機器、ビル、工場の音声付き警報機などに適する。
S1C31D41は、32ビットRISCプロセッサ「Arm Cortex-M0+」に、音声再生専用回路「HW Processor」を搭載し、2chミキシング音声再生、話速変換、新機能の音声ピッチ変換がCPUのリソースなしで動作する。サンプリング周波数は15.625kHzで、スピーカー、電磁ブザー、圧電ブザーでの音声再生が可能だ。
また、96KBのフラッシュメモリ、8KBのRAMを搭載し、各メモリは自己診断機能を備える。さらに、±1%精度の内蔵クロックにより、外付け部品を削減できる。動作温度範囲は−40〜+85℃だ。
開発環境として提供する音声作成PCツールは、米国、欧州、アジア地域の12言語を発声可能だ。スタジオ録音が不要で、既存のWAVデータも取り込めるため、簡単に音声データを作成できる。
パッケージは「P-LQFP064-1010-0.50」「P-TQFP048-0707-0.50」「P-TQFP032-0707-0.80」の3種類。既にサンプル出荷を開始しており、P-LQFP064-1010-0.50パッケージのサンプル価格は550円となっている(税別)。月に20万個の生産を見込む。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 音声ICが不要な車載サウンドミドルウェア、日清紡マイクロとの協業でさらに進化
CRI・ミドルウェアは、「人とくるまのテクノロジー展 2022 YOKOHAMA」(2022年5月25〜27日、パシフィコ横浜)、同社の車載サウンド向けソリューション「CRI ADX Automotive」向けに日清紡マイクロデバイスが専用ICとして開発した「NA1150」を披露した。 - 豪雨や騒音下でも、防災無線の放送内容を聞き取りやすい音声変換技術を開発
富士通ゼネラルは神戸大学と共同で、豪雨や騒音下でも防災無線の放送内容を聞き取りやすく自動変換する技術「SIAFOLS」を開発した。放送音の単語了解度は、従来技術が55%に対し、SIAFOLSは80%と改善している。 - ソニーとNianticが“音声AR”で協業、ヘッドフォン向けゲーム提供目指す
ソニーは、ARモバイルゲームを開発するNianticと、ヘッドフォン向け音声AR領域で協業する。両社の技術を掛け合わせることで、視覚だけでなく聴覚でもAR感を楽しめる、より没入感の高いゲーム体験の実現を目指す。 - Pepperに新AIエンジンを搭載、少しの追加学習で会話機能が向上
rinnaの法人向けAIチャットbot開発プラットフォーム「Rinna Character Platform」の最新版が、ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper」に採用された。少量の追加学習でPepperの会話機能が向上する。 - 思い出した音を脳波から復元する技術を開発
東京工業大学は、頭皮で記録された脳波信号から、音声を直接再構築する手法を開発した。聞いた音声を想起した時に記録されたEEGを利用し、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)によって音源のパラメーターを推定した。 - 「手術で失った声を取り戻す」、東大院生たちが全力で挑む医療系デバイス開発
モノづくり施設「DMM.make AKIBA」を活用したモノづくりスタートアップの開発秘話をお送りする本連載。第5回は喉摘者向けにハンズフリーの発声支援デバイスを開発する、東大院生らのグループSyrinxを紹介。数々の開発課題に悩む彼らだが、研究を通じて人間の声に関するある知見を得たことが突破口となる。