音声ICが不要な車載サウンドミドルウェア、日清紡マイクロとの協業でさらに進化:車載ソフトウェア
CRI・ミドルウェアは、「人とくるまのテクノロジー展 2022 YOKOHAMA」(2022年5月25〜27日、パシフィコ横浜)、同社の車載サウンド向けソリューション「CRI ADX Automotive」向けに日清紡マイクロデバイスが専用ICとして開発した「NA1150」を披露した。
CRI・ミドルウェアは、「人とくるまのテクノロジー展 2022 YOKOHAMA」(2022年5月25〜27日、パシフィコ横浜)において、同社の車載サウンド向けソリューション「CRI ADX Automotive」向けに日清紡マイクロデバイスが専用ICとして開発した「NA1150」を披露した。
CRI ADX Automotiveは、サウンドデザイン担当向けのオーサリングツールとハードウェアへの実装担当向けのサウンドエンジンから構成される車載サウンド向けのソリューションである。その最大の特徴となっているのが、車載サウンドシステムの回路設計において、これまで必要とされてきたD-Aコンバーターやローパスフィルター、電子ボリューム、アンプ、専用電源ICなどを用いずに、マイコンと4つの汎用トランジスタで構成されるHブリッジ回路だけで音声出力を可能にするサウンドミドルウェア「CRI D-Amp Driver(以下、D-Amp)」である。
D-Ampは、音声部品の削減による低コスト化だけでなく、入力から音声処理、PWM出力、スピーカーまでの一連の流れを全てデジタル化することによるロスレスの高音質と、差動駆動によるスピーカー出力のノイズ低減も期待できる。さらに、Hブリッジ回路の電力効率は90%以上であり、無音時にPWM出力電流がゼロとする負荷駆動方式なので消費電力と発熱の低減にも貢献する。
「NA1150」と4つのHブリッジ回路のサイズ比較。右側の赤丸の中央にあるのがNA1150で外形寸法は2.3mm角。左側の赤丸内にあるのが、表面に実装した2素子入りトランジスタ2個を使って構成したHブリッジ回路の基板[クリックで拡大]
NA1150は、このHブリッジ回路を集積するとともに、スピーカーの断線などを事前に検出できる負荷診断機能や各種保護機能を搭載している。「D-Ampを使えば、マイコンとスピーカー以外の外付け部品はHブリッジ回路の4つのトランジスタだけで済ませられるが、これらの回路機能を 2.3mm角のICに集積したNA1150 を使えば、水平展開がさらに容易になる」(CRI・ミドルウェアの説明員)という。
D-AmpをはじめとするCRI ADX Automotiveのソリューションは、ETC/DSRC車載機を皮切りに採用が進んでおり、2020年ごろから大手四輪車メーカーのメータークラスタ向けでの量産出荷も始まっている。対応マイコンは、ルネサス エレクトロニクスの「R-Car」と「RH850」、インフィニオン テクノロジーズの「Traveo」などの他、16ビットマイコンである「RL78」でも利用可能である。
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