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サイプレスが車載マイコンに40nmプロセスを初採用、低価格メータークラスタ向け車載半導体(1/2 ページ)

サイプレス セミコンダクタは車載マイコン「Traveoファミリ」の新製品を発表した。同社初となる40nmプロセスで製造する。量販車種のメータークラスタや、複雑化する車載ネットワークのゲートウェイに向ける。Traveoファミリに最適な電源ICや、日本発の車載LAN規格「CXPI」対応のトランシーバICなども併せて供給する。

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 サイプレス セミコンダクタは2016年1月12日、東京都内で会見を開き、車載マイコン「Traveo(トラビオ)ファミリ」の新製品を発表した。量販車種で小型液晶を搭載するメータークラスタや、複雑化する車載ネットワークのゲートウェイに向けたもので、同社初となる40nmプロセスで製造する。自動車技術会が次世代車載通信規格として定めた「CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)」に準拠したトランシーバも併せて供給し「CXPIに対応する車載マイコンとトランシーバICをソリューションとして提供できる唯一のサプライヤ」(サイプレス PSD事業部担当バイスプレジデントの赤坂伸彦氏)として存在感を高めていく。

40nmプロセスを初採用

サイプレスの赤坂伸彦氏
サイプレスの赤坂伸彦氏

 サイプレスはこれまでTraveoファミリで「第1弾となるハイブリッド車や電気自動車の駆動用モーターを制御する製品は90nmプロセスを採用した。また、中/大型の液晶を搭載する上級車種のメータークラスタやHVAC、ボディ、ゲートウェイ向けには55nmプロセスで対応してきた」(赤坂氏)。

 今回、同社初となる40nmプロセスを採用するのは、量販車種のメータークラスタ向けの「S6J331x/S6J332x/S6J333x/S6J334xシリーズ」だ。同じ40nmプロセスで製造したゲートウェイECU向けの「S6J335xシリーズ」も展開する。両シリーズともサンプル供給が可能な状態。サンプル価格は15米ドルで、量産は2016年7月以降に開始する。

駆動用モーターやメータークラスタ/ボディ/ゲートウェイ向けに展開してきた「Traveoファミリ」のラインアップ。右側に示されている2シリーズが40nmプロセスで製造する新製品だ
駆動用モーターやメータークラスタ/ボディ/ゲートウェイ向けに展開してきた「Traveoファミリ」のラインアップ。右側に示されている2シリーズが40nmプロセスで製造する新製品だ (クリックして拡大) 出典:サイプレス セミコンダクタ

 今回の40nmプロセスは、サイプレスと統合したスパンションが保有する技術である「40nm eCT(Embedded Charge Trap)フラッシュ」がベースになっている。0ウェイトで8nsのランダムアクセスが可能であり、「業界最小クラス」(同社)のセルサイズとマクロサイズも実現した。40nmeCTフラッシュ技術は、保証動作温度範囲が−40〜125℃と車載グレードを達成しており、データ保持期間も20年を確保している。

 これまでの90nmプロセスや55nmプロセスの製品は三重富士通セミコンダクター(三重県桑名市)で製造していた。40nmプロセスからは開発パートナーである台湾のUMCが全量を生産する。

 メータークラスタ向けのS6J331x/S6J332x/S6J333x/S6J334xシリーズは、中/大型の液晶ディスプレイを搭載するメータークラスタ向けの「S6J3200シリーズ」と同じく、ARMのリアルタイム処理用プロセッサコア「Cortex-R5」を採用しており、最高動作周波数は240MHz。CANの拡張規格であるCAN-FDのインタフェースも同様に最大6チャネル搭載している。先述したCXPIインタフェースにも対応している。

 S6J3200シリーズでは、液晶ディスプレイで高度な画像表示を表示することから2D/3Dの画像処理エンジンを搭載していた。一方、S6J331x/S6J332x/S6J333x/S6J334xシリーズは、比較的安価なメータークラスタ向けを想定しており、より小型の液晶ディスプレイに数パターンの画像表示を行える機能のみを搭載している。

「S6J331x/S6J332x/S6J333x/S6J334xシリーズ」の機能イメージ
「S6J331x/S6J332x/S6J333x/S6J334xシリーズ」の機能イメージ (クリックして拡大) 出典:サイプレス セミコンダクタ

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