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ローコード開発で16年の実績を持つMendixが語る、DXがうまくいかない3つの理由製造ITニュース

ローコードアプリケーション開発プラットフォームを展開するオランダのMendixは2022年6月9日、記者説明会を開催し、ローコード開発の現状と日本でのビジネス展開をについて紹介した。

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 シーメンス傘下でローコードアプリケーション開発プラットフォームを展開するオランダのMendixは2022年6月9日、記者説明会を開催し、ローコード開発の現状と日本でのビジネス展開をについて紹介した。

DXで注目集まるローコード開発で16年以上の実績

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Mendix CEOのティム・スロック氏

 Mendix CEOのTim Slock(ティム・スロック)氏は「全ての企業がソフトウェアカンパニーへと変わろうとする一方で、DXの取り組みについては約7割が成功していないという調査結果が出ている。その要因としては主に3点がある。1つ目は、人材を含めた開発リソースの問題、2つ目はビジネスサイドとIT部門のミスマッチの問題、3つ目が業務ごとに分断されたツールやデータなどの問題だ」と訴えている。

 こうした課題を解決するために、Mendixが展開しているのが、ローコードアプリケーション開発プラットフォームである。

 ノーコード開発やローコード開発は、ソースコードを全く書かなかったり(ノーコード)、可能な限り書かなかったり(ローコード)しても開発が行えるツールを活用し、さまざまなアプリケーションを開発する手法である。ソフトウェアをモジュール化し、GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)でブロックやアイコンとして示す。これらのモジュールをGUI上で簡単に組み合わせることで、開発を進める。そのため、プログラミングの専門知識がなくてもアプリケーション開発が行えるというものだ。IT部門がアプリケーション開発を行う際に負荷を軽減できるだけではなく、業務を担当する現場部門がアプリケーション開発に関われるようになる利点がある。

 Mendixでは、ロジック、データ、UX(ユーザー体験)などをビジュアルモデリングできるエンジンを開発しており、これらのプラットフォームを提供している。また、モバイルやクラウドへの対応、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)への対応を含め、幅広いソリューションセットを用意していることも特徴だ。さらに、Amazon Web Services(AWS)やSAP、デロイトグループ、キャップジェミニなどの技術や業界の中心企業とのパートナーシップがある他、シーメンスグループとして3600以上のパテント、5000企業以上の顧客基盤などを活用できる点なども強みとしている。

 「Mendixはここ数年でローコード開発ツールに参入した多くの企業と違い、この分野で16年以上の実績がある。その中で多くの大規模案件での実績なども生まれている。これらで培った技術力やノウハウなどが他社との違いだ」とスロック氏は語る。

 例えば、大規模案件の事例としては、PostNL(オランダ郵便)での導入実績がある。PostNLではMendixの基盤を活用し物流システムを構築。マイクロサービスアーキテクチャを活用し、1日当たりで荷物800万個以上、イベント数1000万件以上の情報処理を行っている。また、アラブ首長国連邦のドバイ自治体政府の住民300万人以上への行政サービス基盤でもMendixを活用しているという。

 これらの実績を合わせると既に20万件以上のアプリケーション開発がMendixで行われ、さらにエンドユーザー数は5000万人以上にも及ぶ。スロック氏は「パッケージング化されたアプリケーションサービスだけが、開発サイクルをさらに高められる。Mendixは16年以上最先端を走り、DXへの知見がある」と強みと実績を強調した。

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Mendixの実績[クリックで拡大] 出所:Mendix

IoTシステムやAIアプリで利用拡大

 Mendixでは、主に経験の浅い開発者向けに設計された「Mendix シチズンデベロッパー」と、プロ向けの高度なビジュアル開発と自動化ツールを組み合わせた「Medix Studio Pro プロフェッショナルデベロッパー」という2つを用意しているが、国内でもさまざまな分野での実績が広がっているという。例えば、ERPやCRM、PLMなどのシステムインテグレーションでの活用や、業務の電子化や自動化での活用、ダッシュボードの構築やマルチデバイス対応、IoT(モノのインターネット)システムやAI(人工知能)アプリなどだ。

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Mendix 日本カントリーマネージャーの松井茂雄氏

 日本での展開を担当するMendix 日本カントリーマネージャーの松井茂雄氏は「ドラッグ&ドロップでアプリ開発ができる点や反復的な共同開発ができる点などで評価を受けている。日本ではグローバルチームとの協力でAPACテクニカルCoE(センターオブエクセレンス)の確立など体制強化を進める他、シーメンスグループとのシナジー強化やパートナー連携の拡充などに取り組む」と語っている。

 既に2021年においても日本を含むアジア太平洋地域で100件以上の新規案件、80以上の新規顧客、20以上のクロスセル案件を生み出すなど、成長を続けている。さらに、「Mendix Academy」とする教育やトレーニングなども充実させ、2022年も拡大を進める。シーメンスグループとの連携については、日本法人同士の連携なども進めており「共通顧客への挙動ていななども進めている」(松井氏)。また、既に、ビルドシステム、アルネッツ、マクニカ、NEC、電通国際情報サービス、コムチュア、日本情報通信などのパートナー企業がいるが、今後もさらに拡充を進めるとしている。

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日本での活用実績[クリックで拡大] 出所:Mendix

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