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非線形解析って何だ!?いまさら聞けない 非線形構造解析入門(1)(3/3 ページ)

多くの3D CADではオプションとしてCAE機能が用意されているが、多くの方が「線形解析」での利用にとどまっており、「非線形解析」にまで踏み出せていない現状がある。本連載では、構造解析でも特に非線形解析にフォーカスし、初心者向けに分かりやすくその特長や活用メリットなどを紹介する。

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非線形の問題はどのようにして解くのか?

 線形の問題は、数式で見れば、以下の式を解くことになります。

y=ax

 yはxに比例するという比例の式ですね。これは中学1年生の数学になると思いますが、xの値は「x=y/a」という簡単な割り算で求めることができます。つまり、線形の問題は四則演算で求められます。

 では、非線形の問題はどうでしょうか。今度は、以下のような数式を考えてみます。

y=ax2

 ここでのxの値は「x=√(y/a)」で求まります。ただ、問題なのは、線形の式のように単純な四則演算では答えが求まらないということです。そのため、このような非線形の問題の解は、現在(既知の値)を出発点にして、増分的に少しずつ解を求めていくというアプローチをとります。これを「増分解法」と呼びますが、非線形解析では「Newton-Raphson法(ニュートン法/ニュートン・ラフソン法)」のような増分解法を用いて解析結果を求めます。

非線形解析の難しさとは

 さて、線形解析と比較した場合の“非線形解析の難しさ”とは何でしょうか? 語ろうと思えばいろいろと出てきますが、あえて言えば「必ず解が求まるとは限らない」ところでしょうか。英語で「Garbage In, Garbage Out」という言葉があります。直訳すれば「ゴミを入力すればゴミが出てくる」ということです。これは線形解析では真実ですね。解析プログラムは入力された条件に基づいて計算をするだけなので、不適切な入力条件を入れれば、不適切な解が求まるということになります。

 ところが、非線形解析の場合は、「Garbage Out」どころかゴミも出てこない、つまり、最終的な答えが得られないこともあります。途中で計算が不安定になり、増分解法の途中で収束せずに最後の解までたどり着けない……といったことはよく起こり得ます。

 そのため、最終解にたどり着くために、ソフトのさまざまなパラメータを調整しながら何とか最終的な解を得て、さらにその妥当性を検証する必要もあります。また、スムーズに計算が流れたとしても、同じ規模のモデルであれば、線形の問題と比較すると計算時間も、また生成される結果ファイルの大きさも膨大になりがちです。

 シンプルに言えば「非線形解析は面倒くさい」です。しかし、その一方で、“線形解析では扱えないような難しい現象のシミュレーションが行える”という、面白く、エキサイティングな世界でもあります。その点はぜひ、心にとめておいてください。

 次回以降の連載では、今回説明した個別の項目を取り上げながら、さらに掘り下げていきたいと思います。と言いつつも、次回はとてもとても重要な「線形」の有限要素法について触れておきたいと思います。お楽しみに! (次回へ続く

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Profile

水野 操(みずの みさお)

1967年生まれ。mfabrica合同会社 社長。ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表取締役。3D-GAN理事。外資系大手PLMベンダーやコンサルティングファームにて3次元CADやCAE、エンタープライズPDMの導入に携わった他、プロダクトマーケティングやビジネスデベロップメントに従事。2004年11月にニコラデザイン・アンド・テクノロジーを起業し、オリジナルブランドの製品を展開。2016年に新たにmfabrica合同会社を設立し、3D CADやCAE、3Dプリンタ関連事業、製品開発、新規事業支援のサービスを積極的に推進している。著書に著書に『絵ときでわかる3次元CADの本』(日刊工業新聞社刊)などがある。


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