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ファン設計から学ぶ、CFDを活用した製品改良のアプローチ初心者のための流体解析入門(16)(1/2 ページ)

流体解析をテーマに、入門者や初学者でも分かりやすくをモットーに、その基礎を詳しく解説する連載。今回は、“CFDを活用して既存のファンを改良すること”をテーマに、ファン設計とCFDの活用についてさらに深掘りする。

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 本連載の第12回「『ファン』を用いた製品設計にCFDを役立てるには」で、既にファンと流体解析CFD)について取り上げました。今回はもう少し深掘りし、「CFDを活用して既存のファンを改良してみる」といった観点で解説したいと思います。

⇒ 連載バックナンバーはこちら

 多くの設計現場では、設計の諸元から1つの部品やユニットを設計していくという流れとともに、既存製品の一部を変更するなどして製品性能を向上させることが求められるケースも多いかと思います。ファンの設計でいえば、一部を変更することでファンの効率を改善させるといったアプローチです。このような場合、理論面から改善を行い、最終的には試験によって製品性能を旧モデルと比較して、改善の成果を確認するわけですが、設計段階でCFDを用いて比較検証することによって、自身の仮説を裏付けながら設計を進めることができます。

 ちなみに、今回の内容は、初心者を対象に基本となる考え方をざっくりと紹介するもので、途中、細かな説明を省略している部分もあります。実際に、ファンの設計を行う際は専門書などを参照しながらステップバイステップで細かく手順を追って進めていただければと思います。

※本稿は、法政大学 理工学部 教授の御法川学先生が実施したCFD勉強会など、複数の資料をベースに、新たにファンの諸元を設定し、作成し直したものです。内容に誤りなどある場合は、筆者の責によります。

設計諸元から基本設計を行ってみる

 まず、以下の諸元を満たす羽根車を設計し、その後、CFDを用いて解析した結果と比較してみます。

諸元:静圧 20Pa、流量 0.2m3/min

 また、軸流ファンについては、羽根車の内径を23mm、外径を46mmとし、回転速度は7000rpmとします。

設計検討例:軸流ファン

設計点:静圧 20Pa、流量 0.2m3/min

 諸元の数値を基にファンの設計を進めていくわけですが、その前に、軸流ファンと遠心ファンのどちらの形式が適しているかを決定するために、比速度を求めたいと思います。通常、この計算では全圧を用いますが、概略の値を求めれば事足りるので、ここでは静圧で計算することにします。

 一般的に、軸流ファンは2000rpm前後で効率が最大化するので、今回のケースでは軸流ファンが適していると考えられます(よって軸流ファンを採用)。

 次に、ファンの速度三角形を求めます。羽根車の内径と外径からΦ34.5の平均径を求め、この値を使って周速度u1を算出します。

 軸流速度Cmは、

となります。

 絶対流速v1は、軸流速度Cmと同じとします。ここから、相対流速w1は、

となります。

 続いて、入口角β1を求めます。β1は以下の式で求められます。

 さらに、出口の速度三角形を算出するために、以下の圧力上昇の式を基にして出口における速度(u2、v2、w2)を求めます。

 ただし、軸流ファンで実質上静圧上昇にかかわるのは第3項(w2)のみであるため、第3項のみを使って計算します。また、静圧の計算となるため、圧力はPSとしておきます。計算式は以下の通りです。

 諸元で示した20MPaを実現するためには、11.5m/sが必要であることが分かります。

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