スマート工場化の推進主体は「経営」なのか、それとも「現場」なのか:いまさら聞けないスマートファクトリー(18)(3/3 ページ)
成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。第18回では、前回、前々回も取り上げた「スマート工場化の推進主体」の話を議論していきます。
最初に打破するのは誰か
それでは、こうした「鶏が先か卵が先か」問題を誰が乗り越えていくべきなのでしょうか。
その理想的な運営体制に持っていくためには、どうしたらよいのでしょうか。
正解というのがあるわけではないけど、見ていて思うのは、「最も危機意識が高い人」が理想的な組織ができるまでけん引するしかないのではないかと思うわ。
んー。どういうことですか。
平たく言えば「最もやる気のある人に推進の権限を与える」という感じかしら。危機感がない人にやれと言っても活動の深さや広さでどうしても制限が生まれると思うの。「このままのやり方ではだめだ」と感じている人に「どうしたらよいか」を考えてもらい、そこに周囲を巻き込んでいくという形だと思うわ。
経営者や現場というような役職は関係ないのですか。
ずっとロジカルな感じだった印出さんが珍しいですね。
まあ、組織を構成して動かしているのは人だしね。日本では特に人に役職が付いている場合も多いので、どうしても「人を動かす」ということが必要になるわよね。そういう意味で、グーチョキパーツで矢面さんが苦労しているのも当然だということよ。
とほほ。逃げられるかと思ったのに、そういうことになるんですね。理想の体制ができるまでもう少し頑張ってみます。
これからも頑張ってね。
理想の推進体制を作るまでの道筋は、各企業や組織体によって多岐にわたります。そして、そこには数多くの障壁があります。そこを乗り越えるには、強い危機意識や情熱が必要になります。成功企業を見てみると、役職は多岐にわたりますが、多くの企業にこうした危機意識を持った推進者がいるケースが多いと感じています。こうした危機意識を持つ担当者に早期に権限を持たせるということが、スマートファクトリー化を推進する組織を構築する意味でも重要だと考えています。
さて、今回はスマート化で悩みとして語られる「スマートファクトリーの推進主体」について取り上げました。次回もスマートファクトリー化のさまざまなトピックについて掘り下げたいと考えています。
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