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トヨタ紡織が“最速”の自己修復ポリマーを開発、植物由来で環境対応も:材料技術
トヨタ紡織は、「人とくるまのテクノロジー展 2022 YOKOHAMA」において、材料に傷や割れが生じても自己修復する機能を持たせた植物由来の樹脂「自己修復ポリマー」を披露した。
トヨタ紡織は、「人とくるまのテクノロジー展 2022 YOKOHAMA」(2022年5月25〜27日、パシフィコ横浜)において、材料に傷や割れが生じても自己修復する機能を持たせた植物由来の樹脂「自己修復ポリマー」を披露した。
開発した自己修復ポリマーは、植物の種から絞り取った油を原料とする植物由来樹脂である。自己修復機能の特徴としては、一度切断した樹脂片の切面を接着してから10〜20分程度の時間で十分な強度を持ってつながることを確認している。「光や熱などを使わない場合の自己修復速度としては最速ではないかと考えている」(トヨタ紡織の説明員)。また、速度が少し低下するものの、水中でも自己修復が可能である。
自己修復機能を持つ樹脂材料としては、表面スクラッチなどの傷を修復するポリウレタンや、タイヤのパンクやすり減った溝を自己修復するエラストマー(ゴム材料)などが提案されている。今回開発した自己修復ポリマーは、従来の自己修復樹脂材料と特性が大きく異なるとともに植物由来であることから、展示会で披露することで来場者を含めて多方面に活用法などについて意見を収集したい考えだ。
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