無錫村田電子が2023年にRE100達成へ、まずは太陽電池搭載の立体駐車場を導入:脱炭素(2/2 ページ)
村田製作所は、中国の主力生産拠点である無錫村田電子(江蘇省無錫市新呉区)の敷地内に、屋上や壁に太陽光発電パネルを設置した立体駐車場を完工したと発表した。併せて、2023年に工場の稼働に用いる電力を100%再生可能エネルギーで賄うRE100の達成を目指すなどの気候変動対策を発表した。
村田製作所グループ全体と比べて積極的な目標を掲げる
今回の会見に合わせて、中国の環境政策に合わせた無錫村田電子の気候変動対策を発表した。中国は、2030年にカーボンピーク、2060年にカーボンニュートラルの達成を目指す「3060計画」を2020年9月に発表している。この3060計画の達成に向け、2021〜2025年の第14次5年間計画では、GDPの単位当たりのエネルギー消費量を13.5%、CO2排出量を18%削減するなど、かなり厳しめの目標が掲げられた。
そこで無錫村田電子は、2023年にRE100、2025年にGHGプロトコルのスコープ1と2でのカーボンニュートラル、2030年にスコープ3まで含めたカーボンニュートラルの実現を目標とする中長期の気候変動対策のロードマップを策定した。今後は、毎年の省エネ目標3%を継続するとともに、立体駐車場に加えて工場の屋根などに太陽光発電パネルを設置した上で、これまでの火力発電に基づく電力を再生可能エネルギー由来に100%入れ替える方針だ。
なお、村田製作所グループ全体としては、2024年度に温室効果ガス排出量を2019年度比で20%減、2030年度に同46%減、再生可能エネルギー導入比率は2024年に25%、2030年度に50%、2050年度に100%を目標としている。GHGプロトコルのスコープ3については、2030年までに2019年度比で27.5%削減となっているので、2030年にスコープ3を含めたカーボンニュートラルを実現するという無錫村田電子の目標は、村田製作所グループ全体と比べてもかなり積極的といえる。
また、同じく無錫にあるリチウムイオン電池工場の村田新能源についても、太陽光発電パネルの設置や、金津村田製作所(福井県あわら市)に導入した蓄電池システムなどを採用するなどして、再生可能エネルギー導入比率を高めていく方針である。
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