村田製作所が工場に大規模蓄電池システムを導入、「自家消費型」再エネに本腰:脱炭素(1/2 ページ)
村田製作所は、太陽光発電システムや同社製のリチウムイオン電池を用いた蓄電池システムを大規模に導入した生産子会社の金津村田製作所(福井県あわら市)を報道陣に公開。工場建屋や駐車場の屋根部にパネルを設置した太陽光発電システムの発電能力は638kW、北陸最大規模とする蓄電池システムの容量は913kWhに達する。
村田製作所は2021年10月12日、太陽光発電システムや同社製のリチウムイオン電池を用いた蓄電池システムを大規模に導入した生産子会社の金津村田製作所(福井県あわら市)を報道陣に公開した。工場建屋や駐車場の屋根部にパネルを設置した太陽光発電システムの発電量は638kW、北陸最大規模とする蓄電池システムの容量は913kWhに達する。これらと独自のエネルギーマネジメントシステムを組み合わせることで工場消費電力の13%を自家発電で賄うとともに、残りの87%についてはグリーン電力由来の電力調達を行うことで同年11月1日から使用電力の100%を再生可能エネルギーとする計画だ。
国内外の製造業に対してCO2排出量削減への取り組みが求められているが、大手電子部品メーカーとして知られる村田製作所も例外ではない。事業規模を拡大する中でエネルギー使用量が増加しており、2020年度の年間電力使用量は国内だけでも1.6TWh、グローバルでは2.6TWhにもなる。年間CO2排出量も、GHGプロトコルのスコープ1(燃料など由来)で28万トン、スコープ2(電力由来)で116万トンだ。
同社 社長の中島規巨氏は「事業成長を追い求めるだけでなく、社会価値と経済価値の好循環を生み出す経営変革が必要であり、環境分野でも取り組みを強化する方針だ」と語る。実際に、2020年2月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、同年12月には使用電力の100%を再生可能エネルギーにすることを目指すRE100に加盟した。RE100における目標達成時期は2050年を掲げている。
「省エネ」「再エネ」「再エネ証書」の3本柱で対応
村田製作所の気候変動対策は「省エネ」と「再エネ」、そしてそれらで不足する分を「再エネ証書」で賄うという3つの柱で構成されている。「省エネ」では、再生可能エネルギー関連の投資回収年数を通常の5年から8年に緩和したり、2021年度から社内カーボンプライシング制度を導入したりしている他、前年度CO2排出量の1〜3%分の省エネ実施を目標に各種施策を実施するなどしている。「無線センサーを用いた見える化とデータ分析に基づく最適運用により、空調の電力使用量を半減した実績もある」(中島氏)という。
「再エネ」については、グループ全体の太陽光発電システムの発電量が2021年7月時点で21MWある。岡山村田製作所(岡山県瀬戸内市)やタイ、フィリピン、シンガポールの事業所には発電量1MWを超えるいわゆるメガソーラーを導入している。これらに加えて「再エネ証書」を購入することで再エネ調達量は合計396GWhとなっている(2020年度)。これはグループ全体の総電力消費量の15%に当たる。
金津村田製作所における、今回発表した太陽光発電システムと蓄電池システムの大規模導入も「再エネ」の取り組みで重要な役割を担うことになる。そういった経緯もあり、施設名称も「金津村田製作所クリーンエネパーク」としている。
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